インターネットの時代だからこそ読解力

ICT教育

 インターネットが普及してから、画像や動画による発信が急速に増えた。「これからはもう文字の時代は終わりか」というような印象が強かった時期もあった。

 しかし、現実は全く違う。確かに画像や動画は紙の時代よりも爆発的に増えたかもしれないが、同じく文字による発信も増えている。書籍もニュースも電子化されるようになった。個人の発信も増えてきている。

 ネット上にあふれる文字の数は、紙の時代よりもはるかに多くなったのである。

 子どもたちが生きていく時代は、この膨大な情報を処理する能力が必要な時代なのである。

 検索一つするにしても、何をキーワードにするのかを考えること自体が、高度な文章能力である。
 そもそも知識がなければ検索もできない。

 検索して出てくる情報の中にある文章も読めなければならない。日常生活の便利な情報を取り入れるだけなら、それほどの読解能力は不要かもしれない。しかし、仕事や研究、勉強に生かしていこうと思えばそうはいかない。

 これからの子どもたちは、膨大に出てくる文章を、正確に読み自分の知識として取り入れたり、分析・批評をしていくことが求められていく。

 文部科学省の行う学力学習実態調査の国語の問題はまさに、そんな問題であろう。
 大学入試の共通テストも、そうした傾向にあると聞く。
 設問の数はとても少ないから、文章の理解ができれば、内容もそれほど難しくはないように思える。
 しかし、膨大な量の文章を読まなければ答えることができないような構成になっている。
 その意味では、まさに時代にあったいい問題を出すようになってきたのだろうと思っている。

 この時代変革に、国語教育がついていけているかと言えば、心細い限りである。

 ICT活用能力の基本を支えるのは、この読解能力である。
 大量の文章を読み、そこから正しい情報や必要な情報を抜き取り、自分の思考に生かせるための能力が求められていく。

 また、時には出ている情報を疑う能力も必要となる。
 反対意見に冷静に耳を傾ける態度も必要となる。

 これからの国語教育は、そうした時代の流れに対応していく必要があるのだ。

 ネットの情報に振り回され、感情的に動く(炎上する)のも、文章を冷静に読む能力が欠けているせいではないかと、個人的には考えている。
 国語教育はこれからが正念場である。

 読解力向上については別途書き起こしていく。

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