算数指導15電卓

教育技術シリーズ

電卓はかなり重宝する

 学級に電卓があると、かなり重宝する。1台ではない。20台ほど自費で購入していたのである。

 今から30年くらい前に、文房具店に置いてあったら比較的小さくて安い電卓を、あるだけ購入した。1台1000円程度だった記憶があるが、今ならもっと安くあるはずだ。

 きっかけは5年生の「割合」の学習である。

 「割合」の難しさは、立式から考えるところにある。実はそれまでの単元では、「小数の割り算」という単元ならば、出てくる問題は割り算ばかりであるという、暗黙の約束事があった。(ごくまれに例外もある。)

 子どもたちは教科書にあるその内容から推察しながら、演算決定を行っていたのである。

 それが「割合」の学習になって、初めてかけ算か割り算かの決定から考えなければいけなくなる。その上、どれが乗数、被乗数、どれが除数、被除数なのかも考えないといけない。

 演算決定をしたうえで、筆算する。この筆算も、苦手な子どもにとっては偉く時間がかかるのである。

 しかし、割合の学習は筆算の学習ではない。問題文から二数の関係を読み取り、式を導くまでの方が重要なのである。そこが今までに子どもたちが経験してきた学習と大きく異なる点である。

 45分の中で、筆算一つに戸惑ったせいで、全く授業が進まないというわけにはいかない。

 そこで、電卓の登場である。計算は電卓を使っていいことにした。2人1台の割合で貸し出していた。当時の自分の予算がそこまでだったこともあるが、電卓は瞬時に答えが出るため、1人が長時間持っておく必要がない。

 今でこそ電卓は使っていいことになっているが、おそらく当時は画期的であったろうと自分でも思う。

 電卓の使用により、授業の中で、問題を読み立式を考える時間が格段に増える。

割合は大きく3つのパターンに分類され、そのいずれになるかを読み解くのが第一歩なのだが、これが難しいのだ。しかし、その部分に授業のかなりの部分を当てることができるようになった。立式さえできれば、あとは電卓を使えばいいから。

 5年の学習でも難関の単元である割合でも、平均点が90点を超えたのは、当時未熟だった自分の力量からすれば画期的な点数となった。

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