話し方は上達可能である

教育技術シリーズ

 教室という環境は、業界固有の特別な環境ということは「声」のページでもお伝えしました。

繰り返しますが、教室は日常生活にはない特殊な環境です。多くの人が教室での生活を子どものころに過ごしているために、教室というのは日常だと思っています。しかし、教室は特殊な環境です。

 特に大人である教師にとっては、特殊です。大人の世界で、数十人を目の前にして、同時に話を伝えようとするような業種はそれほどありません。

 声の出し方も変わりますが、話し方も変わります。これも声と同様に、アナウンサーとも役者とも違います。話し方は違うのに、アナウンサーや役者は教室に来ても、きちんと子どもたちに伝えるように話すことができるでしょう。

 それは、トレーニングを受けているからです。トレーニングによって、状況に応じて話し方を変えることができるからです。それだけのバリエーションを持っているからです。

 話し方を変えることはできます。少し練習すれば、誰でもできます。

 「教科書35ページを開けなさい。」

という言葉を、何通りの話し方で言えるか、試してみてください。練習する場所は、放課後の教室でいいです。そこで、座席の四隅にいる子どもたちを含めた全員に伝えるつもりで練習するのです。

 そのうえで、何通りもの言い方を考えてみるのです。

 ゆっくり言う、早口で言う、一語ずつ区切りながら言う、高いトーンで言う、低いトーンで言う、笑顔で言う、怒って言う・・・ほら、何通りもできるでしょう。

 組み合わせればさらにパターンは増えます。ゆっくり笑顔で言う、怒って早口で言う、などなど。

 同じ言葉を違う言い方で言えることを知っていると、教室でも話し方が変わるのです。

 念を押します。

 実際にやってみないと、絶対に分かりません。やってみると、自分の話し方が自覚できます。これを録音して聞いてみるとさらにいいです。録音用の機械はもちろん、教室の後ろに置いて、です。自分の声や話し方を録音で聞いてショックを受けると、また上達します。

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