「ほめる」とは「そのままで」というメッセージ

教育技術シリーズ

 心理学用語「強化」を実践化する

 子どもをほめることが大切なのは、誰でも理解している。
 しかし、そのほめる内容については、人によって大きな差がある。

 「何もほめることがありません。」という言葉を大人が口にする場面をよく見る。
 これはきっと、何か「特別ないいこと」が見つからないから、と思っているだろう。

 ほめるのは、何か特別ないいことに限定する必要はない。
 むしろ、いつもやっている当たり前のことをほめていく方がいい。これは特に四月の出会いの時期には一層有効である。

 教室で子どもたちがきちんと話を聞いているときに、それを当たり前と思って何も言わないのではなく、「今の聞く姿はとてもいいね」とほめる。

 これは心理学的でいう「強化」にあたる。ある行動がなされたときに、それを認め、確認することにより、繰り返し出てくるようにすることである。

 子どもたちは、叱られたり注意されたりすることはよくある。その行動はよくないと大人から指示されている。

 しかし、よくない行動は分かっていても、正しい行動が何なのかは、実はよく分かっていない。
 子どもも、何となく見えてはいるが、それが本当に正しいのか確証はない。また、一つ一つの行動にいちいち意識をもってやっているわけでもない。

 先の聞く姿を「今の姿はとてもいいね」と教師が言います。
 子どもたちの意識の中に「あ、これがいい姿なのか」という認識ができます。

 教師がさらに「目が合っているからいいね」というような、理由や原因を伝え、それを確認していくと、さらによくなる。
 また、その時にできていなかった子どもたちも、どうすればいいのかが分かり、自分の行動を治すことができる。

 こう考えると、ほめることは山のようにある。「それでいいんだよ」と言えることは学校生活の中にたくさんあるからだ。一部の個人に言うことで全体への示唆を意図することも可能です。

 子どもたちは、白紙の状態から成長します。大人が思っている以上に、真っ白です。毎日ものすごい速さで学習をしている。
 考えれみれば、姿勢に一つにしてみても、悪い事例は山のように出てくる。
 それらをいちいち指摘していくよりは、いい事例を示して「こんなふうにするといいんだよね。」と伝える方がはるかに効率がいい。

「それでいいんだよ」と大人が声をかけ続けることは、子どもたちが道に迷わず、今の自分を高く評価できる点で、優れた指導法だといえるのだ。
 新年度のスタートで、教師がどれだけ「強化」できるかで子供の成長も変わってくる。

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