読書指導 偶然の出会いを待つために

図書指導

 本との出会いは、偶然によるところが大きいと思っている。生涯心に残るような本に出会えたとしたら、それはとても幸運なことだろうと思う。
 しかし、そういう本は「出会うぞ」と思っても出会えるものでもない。何かセオリーがあって、こうすれば絶対に出会えるというものでもない。
 誰もが決して忘れないというような万能の本もない。好みや感じ方は人それぞれである。
 年齢や置かれている環境によっても変わってくる。以前なら全く心を動かされなかった本が、ある年齢になったり、ある環境にいたりすることによって、急に見え方が変わることもある。

 いろんな本を読みながら、その出会いを待つしかない。
 その出会いは、明日来るかもしれないし、大人になってから来るのかもしれない、いつ来るのか、もしかして一生来ないのか、それも分からない。

 教師ができることは、子どもたちに本との出会いの機会を作ることだろう、と考えている。

 本との出会いの機会を作るのに、図書館は貴重な場となる。子どもが在学の間に読み切れないほどの本が、すぐそばにあり、いつでも借りられ、そして無料なのである。
学校図書館は宝の山

 もっと気軽に足が向く場所になるように指導をしたい。マナーはそのあとでも十分に指導できる。

 私事だが、自分も本は大好きだ。
 決して裕福な家庭ではなかったが、小さいころにたくさんの本を与えてもらい、自然に読む機会が増えた。(親に感謝している。)
 中学高校では部活の忙しさにかまけて、ほとんど読まない時期となったが、大学に入ってからは少ない生活費の中からやりくりして本を買っていた。学内の書店で買うとポイント券がもらえていた。このポイント券をせっせと集めてまた文庫本を一冊買うということも繰り返していた。
 教師になってからはいっそう本を読むようになった。本代は常に少ない給料を圧迫していた。多少の変動はあったが今でも読書の熱は少しも冷めない。

 子どもたちには、自分の本の思い出をよく話す。小学校の頃に熱中していた「少年探偵団」のような推理小説やSF小説の話。大学時代にはお金がなくて1冊の文庫本を買うのに、本屋で長い時間選んで、買った後は一気読みだった話。などなど。

 絵本には、私が子どもの頃からの本もある。名作はいつまでも名作である。そんな話もする。教師が楽しそうに話したら、子どもも少しずつ読んでみようかと思い始める。

読書指導ラインナップ
 本好きにするための指導群

 01 図書館は宝の山
 02 偶然の出会いを待つために
 03 初日の指導は図書館探検
 04 図書館利用マナーを教える
 05 高学年でも貸し出しは増える
 06 読書感想文は書かせない
 07 読書量の目安はどのくらい?
 08 学級文庫は必要か?
 09 読解力と読書は直近では無関係
 10 国語教育と読書は別物として考える
 11 子どもの目の動きを読む

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