いろいろあるったい
子どもたちは、いろんな状況を抱えて学校にやってくる。
病気がちの子どももいれば、休みがちな子どももいる。元気のない子どももいれば、勉強が苦手で学校に行きたいと思えない子どももいる。
友だちが休んだり、早退したり、あるいは別室で指導を受けるようなことがあると、
「先生、〇〇君はどうしたんですか。」
と聞く子どもがいる。
心配してくれているというよりは、興味本位で聞いているような時もある。
休んだり、早退したりすることをうらやましいと単純に思っている場合もある。
本人の気持ちも考えずに、直接聞きに行く子どももいたりする。
私は、
「みんな、人には言いたくないようないろいろな状況があります。
先生はそれをきちんと聞いて、納得の上で早退(あるいは欠席)としているのです。
君たちが人に言いたくないようなことをあれこれと聞く必要はありません。
『人間にはいろいろあるったい』(博多弁)ということです。
それを先生の代わりになるわけでもないのに、聞くのは『いらん世話ったい』(同じく博多弁)ということです。」
と話している。
知らないふりも大切ということを教える必要がある。
同じように身内に不幸があって休むときがある。
その時は家族からの要望がない限り、子どもたちには
「〇〇君はおじいちゃんが亡くなってお葬式に行くのでお休みです。」
と伝えることにしている。
伝えるときに必ず付け加えることがある。
「何日かすると、〇〇君も学校に戻ってきます。悲しい気持ちでいると思います。
みんなはどうしたらいいと思いますか。(ほぼ間を置かずに続ける。)
心配で声をかけることがあるかもしれません。
しかし、こういう時には何もなかったように、今まで通りにしてくれるのが一番うれしいということもあるのです。
家に帰れば、思い出して悲しくなると思います。
でも、学校でみんなと過ごしている時は、少しでも悲しさが和らぐかもしれないのです。
何も特別なことをしないで、普段通りにしてあげることが一番の親切ということもあるんですよ。」
理由を伝えないでいると、心配して理由を聞きに行こうとする子どもが出るかもしれないので、理由は説明しておく。
しかし、そっとしておくために伝えるのである。