コスパが話題になる理由

働き方改革

コスパが話題になる理由

 最近、コスパ(コストパフォーマンス)や、コスパと同じくらいにタイパ(タイムパフォーマンス)も話題になっている。
 動画を2倍速で見たりするような話題があり、賛否両論が飛び交っているようである。
 個人的には、これも一つの流れとして歓迎しているところもある。自分がついていっているかどうかは別にして。

 我が国の産業において生産性が低いことはずいぶん前から指摘されていた。
 単純に言えば、同じことをするのに時間をかけすぎる。また、それが手間暇をかけた日本の職人芸だとして評価されてきた面もある。
 しかし、そうした仕事のあり方が、国全体としての非効率を招き、国際競争力を落としてきていると評価されている。

 その中においての若者のコスパ・タイパ意識である。
 同じ時間の中で効率よく物事を処理しようという発想そのものは決して悪いことではない。
 今は、それだけの情報やツールもそろっている。コスパを意識し自分の仕事や生活を変えてきた人が成功してきている事例もよく見られるようになってきた。

 だから、社会全体としてコスパを意識した流れにあることは自然なことだろうと推察する。

 最近は、就職先を選ぶ時に、自分がその企業にいる間にどのくらい成長できるかを確かめて選択する若者が増えていると聞いた。
 すなわち、コスパのいい企業を選ぼうということである。
 若い人はすでに終身雇用制度をあてにしていない。社会は変化し続けていくし、それに対応できる企業が生き残るであろうことも感覚的に分かっている。

 だから賢く選択しようと思えば、10年後、20年後の自分を見越して、これからどう過ごすかを決めることは、とても賢い選択であろう。
 今の社会体制にずっぽりとはまってしまっている大人にしてみれば、何やら小賢しく見えるのかもしれないが、むしろ逆である。コスパ・タイパなどと言って批判している場合ではない。

 中には自分が成長できるのなら、少々ブラックでも構わないという若者もいると聞く。
 単にぬるいだけの働き方改革では、もう駄目だということを若者が教えてくれている。

 さて、長々と書いたのだが、察しの言い方はお分かりかもしれない。

 このコスパ、タイパという点から見ても、教職という仕事は若者から魅力的に見えるかどうかということが問題なのである。

 教師という仕事に就いていれば、自分を成長させることができるのか、人生100年時代を生き残ることができるのかと考えて、この道を選ばれたときに、それに耐えられる仕事には残念ながらなっていない。

 子どもが好きとか、使命感などと、何十年も前から同じことを言っていても仕方がないのである。

 念のために付け加えると、希望する若者が「子どものためにがんばりたい」と言ってくれることは大変にありがたい。同じ志を持ってくれる若者の存在は大歓迎である。

 ここで言いたいのは「誘う側」のスタンスである。

 今の世間の風評でいえば、この仕事は「残業手当が出ないけど、超勤は常態化し、常に忙しいブラック職場です。多様な要求に応えるようもとめられていますが、人手も予算も足りていません。足並みをそろえることを求められ、創造的でもありません。そんな仕事だけどどうですか。あ、ちなみに教員免許も一部不要です。」といっているようなものである。

 選択をしない若者の方が賢明である、と認めたくないけど認めざるを得ない。

 私は、この状況に代案を出そうと考えている。

 

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