二分の一成人式を改めて問う 2

現代教育論

2分の1成人式を改めて問う2

(前号の続き)

 保護者への感謝の気持ちを大切にしようという「スローガン」はいいだろう。
 それをどのように子どもたちに話をし、どのような行動をとればいいのかを指導するかはまた別の問題である。
 保護者への感謝の手紙を全体の場で読ませる必要はない。

 同じように、感謝の気持ちを高めるためにか、小さなころの思い出を保護者に聞き取りをさせる活動もあるようだ。小さなころに病気をしたというような話があると「美談」にもなるのだろうか。

 離婚や再婚を経て今に至る家庭、里親、あるいは祖父母が育てているなどそれぞれに事情があるだろうから、こうしたことを聞くたびに家庭の事情について確認を取らなければならない。

 これまた同じく、そこまでして取り組む必要はない。

 そもそも、小さなころからの思い出をまとめるような学習は、2年生の生活科の学習の中ですでに一度行っている。
 子どもだけでなく保護者にとっても2度目のお願いとなる。
 担任は2年生から連続して受け持っているわけではないので、そこに二度手間という視点があまり出てこない。
 しかし、保護者の中にはそれを手間だと思うところがあっても、当然である。

 すでにお分かりと思うが、2年生で小さなころの思い出を聞き取らせ、発表させるという活動自体も問題が多いのである。しかも、それを最後の学習参観で行う学級が多いことも問題を複雑にする。

 子どもに親への感謝を表明させるということで言えば、卒業時に同じようなことをする場合もある。

 だとすれば、実は6年間の小学校生活で2年おきに親への感謝の気持ちを表明させるイベントが行われていることになる。個々の学習に意味があっても、連続することで効果が上がるとはとても思えない。

 これでもし、兄弟姉妹がいたとなれば、同じような冬の時期に、同じような情報整理を家庭にお願いすることになっている。

 ちなみに私も親への感謝の気持ちについては、大切にするように話をしてきた。

 卒業式の前日などに最後の宿題として、「今日、明日、明後日のうちにおうちの人に感謝の言葉を伝えておきなさい。」という課題を出す。

 ただし、この宿題のチェックは教師はできないし、やらない。お礼の言葉を言うかどうかは最後は子どもに任せる。
 誰に言うかも、子どもによって違うだろう。言いたくない状況もあるかもしれない。

 私は「最後の宿題」という形を通して、子どもたちにメッセージを伝えるが、それを実行するかどうかは子どもに任せるだけである。それでいいと思っている。

 二年に一度というようなサイクルになるイベントとしても、親への手紙はいい課題ではない。
 ついでに言うと、二分の一成人式と同じ理由で2年生の生活科学習の方もやめるべきだろう。

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