オプションに頼らない

働き方改革

オプションに頼らない

 漢字の指導をする。
 しかし、定着率が悪い。どうするか・・・。
 というように、授業を進めていると、子どもたちに定着していかない現実にしばしばぶち当たる。

 とりあえず何とかしなければならない。
 そう考えたときに、多くの教師がオプションに頼ろうとする。

 第一が宿題である。
 漢字練習、計算練習、音読練習は、「宿題三点セット」として有名である。
 この三つは授業でカバーできないので、家庭学習に任せていくという習慣が、長く根付いてきた。もはや文化と言っていいかもしれない。(笑)

 第二が居残り学習である。
 最近は下校時の安全確保のため、以前よりもかなり減ってきた。かつては、放課後に残して学習させることが「教師の善意」かのように思われたことがあった。地方によっては、これを地域のサポートとして組み込んでいるところもある。

 かつては、夏休みに一部の子どもたちを呼んで、補習のような形で学習をする教師もいた。さらには土日にも行っていた教師もいた。

 そうした取り組みに保護者も感謝してくれたり、子どもたちとのふれあいの時間として楽しく過ごせたという面もあったりしたようだ。

 第三に、補充タイムの特設である。
 いわゆる帯タイムということで、毎日の時制の中に学力向上のための特設時間を設定する。
 10分から20分くらいが多いだろうか。
 この時間は使い方によっては、多様な活用方法が見いだせる。教師の裁量である程度自由に使えるようにしておくと、何かと便利である。
 しかし、これがないと学力向上ができないと言われれば、話は変わってくる。

 補充タイムや宿題のために、プリントを余計に準備することになる。
 印刷の時間も取られるし、管理も手間がかかる。何より答え合わせなどの時間も必要になる。
 その割に、どのくらいの効果が上がったかは、実はよく分かっていない。

 第四に〇つけ先生である。
 これは今でも各地にあるかもしれない。地域や学生を招いて、授業のサポートに入ってもらうシステムである。授業に入ってもらったり、上記の居残り学習のようなシステムの中で入ってもらったりすることがあるようだ。

 更に広く見て行けば、少人数指導やティームティーチングなどもここに含まれるかもしれない。能力別編成によって、子どもたちにより適切な授業ができるようにというシステムだったが、劇的に向上があったという話は寡聞にして聞かない。

 いずれも共通して言えることがある。

 それは、授業そのものの再検討がなされていない、ということである。
 授業を改善し、時間内に子どもたちが理解できるようになれば、宿題も居残りも不要になるかもしれない。
 そして、その方が時間もエネルギーも使わなくて済む。
 子どもも保護者も、そして教師も穏やかに時間を過ごせるはずである。

 学力向上という言葉が現場の中で声高に主張されるようになってから、授業の改善というよりもオプションに走るという現象が一部では見られた。
 そのオプションをどう工夫するかという点に意識が向けられていた時もあった。

 授業を改善して、その中で収まるのなら、その方が絶対にいいはずである。
 漢字にしても計算にしても、授業時間内に収めても学力が伸びていく実践例はいくらでもある。(本ブログでも紹介している。)

 授業のあり方を検討しようとせずに、オプションで対応しようとするために、現場は一層忙しくなっている。

 なぜ授業について検討しようとしないのか。 

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