子どもへの話は「平時」に行う

子どもへの言葉

 子どもにちょっとした短い話をする機会をよく持っていた。5分か10分程度の短い話。改まってする話ではないが、場合によっては子どもたちの心にまっすぐに届いて、時には卒業式の時に「あの時の話が」と手紙をもらうような大切なフレーズになることもある。

私の場合は、授業が早く終わったときや、帰る前の短い空き時間にすることが多かった。

あらかじめ話そうと思うときは、これから取り組む活動の中でトラブルが予想されそうなときに話をした。

 いずれにしても、タイミングについては大きな原則がある。

 トラブルが起こってから、話しても小話程度ではもう遅い、ということである。

 トラブルが起これば、まずはその解決にまっすぐに向かわなければならない。当事者が納得する解決策を、短時間で見つけなければならない。

 こんな話が役に立つのは、トラブルが起こる前に、それも何にもない平和そうなときに「そういえば、ふと昔のことを思い出したんだけど」というような感じで話をしたときである。話をしたら、よけいな精神論を付け加えずに「お話終わり、帰りましょう」とさっさと打ち切っていた。

 そんな話だと、トラブルが起こったときにも「ほら、先生も前にこんな話をしたことがあったでしょう?」ということができる。その方が説得力もある。

「そうはいっても、トラブルが起こる前って予言者じゃあるまいし、無理でしょう」と思うだろう。その通りである。

 これらの話は私が何度も高学年を受け持った経験上、同じような時期に同じようなトラブルが起こることが見えてきたときに、初めて使えるようになったものばかりだ。

 一度起こったトラブルの原因を考え、もしさかのぼるとしたら、いつどんな話をしておけばよかったかと考えていた。

 もし、これらの話を知って、心に残るようなら「まるで自分の経験話」のように、子どもたちに話しておくといい。トラブルが起こる前の平和な時期に、「先生、なんでこんな話今しているの?」と思われるくらいでちょうどいい。

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