全体から個別への音読指導

教育技術シリーズ

 先にも述べたように(参照「初めの目的は声」)まず1文のみ指導する。一つ指示をして読ませることを繰り返す。テンポよく進める。子どもたちの声が少しずつ変わってくる。

 慣れてきたら、人数を減らしていく。
 全体指導から個別指導へ段階的に移行していく。

「右半分の人、読みます。さんはい。」

「左半分の人、さんはい。」

 読み方に点数をつけてもいい。

「右半分の人、読みます。さんはい。」・・・「5点満点で3点」

「左半分の人、さんはい。」・・・「4点。」

「右半分の人、もう一度、さんはい。」・・・「よくなった。4点。」

 さらに列を減らしていく。

「1号車、読みます。さんはい。」・・・「10点満点で6点。」

 以下、2号車、3号車と続く。

 「号車」が2列単位であれば、さらに1列ずつ読ませる。

「(2列のうち1列だけを指して)この列だけ読みます。さんはい。」

 ここまでくる間に、もうかなりの回数読んでいる。子どもたちも慣れてくる。

 列ごとに読んでいる間に、待つ列の子どもは少しだけ暇になる。

「列ごとに読んでいるときは、誰の読み方がいいか、見ておいてください。」

 これだけで見られているという緊張感が出る。

 今度は横の一列ごとで音読させてみる。あるいは、奇数列だけ偶数列だけという方法もある。
 1文を何度も読むから、子どもたちも慣れてくる。

 タイミングを見計らって「独りで読める人?」といざなう。
 さっと挙手したところで、指名し、読ませる。どれだけ失敗しても声が小さくても第1号はそれだけで立派だとほめる。
 続けて、二人目をいざなう。

 一人を指名して読ませていると、周りはよく聞いている子どもと、油断をして気が緩む子どもが出てくる。そこで独りで読み終わったすぐに

 「今の〇〇さんと同じ声の大きさで読みましょう。さんはい。」

と、再び全員にもどす。
 一度読んだら、また一人で読む子どもをいざなう。

 こうして集団で読むことと個人で読むことを織り交ぜていく。

集団での音読は、最終的に個人の音読に生かせるための通過点である。

音読指導ラインナップ
 00 教室で行う音読指導
 01 声を出させる音読指導
 02 全体から個別への音読指導
 03 個から自立への音読指導
 04 集団に埋もれさせない音読指導
 05 1文から始める音読指導
 06 あらゆる教科でできる音読指導
 07 微細にこだわる音読指導
 08 黙読へ向かう音読指導
 09 詰めにこだわる音読指導
 10 進化した音読
 11 暗唱と連動した音読指導
 12 他教科へ波及する音読
 13 裏技の音読指導
 おまけ 音読の宿題は保護者に恨まれる

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