ノード(点)だけでなくリンク(線)を見る

学級経営

第2章1節 ネットワークは人類が生きるための固有の能力 のつづき
ノード(点)だけでなくリンク(線)を見る

 ネットワークを考えるために基本用語が2つある。

 「ノード」「リンク」である。

 「ノード」とは、ネットワークの中の「点」を意味する。学級で言えば、これが子どもにあたる。
 「リンク」とは「ノード」と「ノード」をつなぐ「線」を指す。学級で言えば、これが子どもどうしのつながりと言える。

 学級を「箱」とみなしていた時には、子ども、つまり「ノード」に目が行きがちである。
 その子どもたちが、なるべくいざこざを起こさないようにと思うほどに、同じような状態(均質)であれと思ってしまう。

 ネットワーク理論の視点で見れば、個々のノード(子ども)が均質であるかどうかは、比較的気にならなくなる。

 それよりも大切なのは「リンク」つまり、つながりである。
 外側の「箱」がないと考えれば、互いのつながりだけが学級を維持する基盤となる。

 ある子どもは、たくさんのリンクが出て、多くの友だちとつながっているかもしれない。
 あるいは、別の子どもは少数のつながりだけれど太いつながりかもしれない。
 ある三人組は、その三角形のつながりは強固だが、他とのつながりが一切ないかもしれない。
 それどころか、他者とのつながりが本土ない子どももいるかもしれない。
 さらには、ある友だちとのつながりに引きずられて、大きな影響を受けているかもしれない。

 特に、「強い」「弱い」に関わらず他の子どもとのリンクが多い子どもは、いわゆる「影響力のある存在」としてネットワークの中に位置づく。
 ネットワークをイメージすれば、その子を中心として多数のリンクが発生し、まるで他の子ども(ノード)が引き寄せられているような状態である。

 こうして、ネットワークで見ていくと、個別の「ノード」だけでなく「リンク」にも目が行くようになる。
 まさにリンクに目を向け、そこから個々の子どもたちのありようを探っていくのが、学級ネットワーク理論の骨格である。

 教師の頭の中で、教室という箱を外してみる。
 子どもたちがばらばらの存在に見えてくる。今は点つまり「ノード」だけだ。
 そこに休み時間の様子や、授業の様子をオーバーラップしていく。すると、子どもどうしのつながりが見えてくる。

 つながり方が実に多様であり、一度では明確な答えは出ないだろう。
 さらには、つながり自体が日々変化していく可能性も高い。

 しかし、いずれにしても「リンク」を見なければ、話にならないことに気づいていくはずである。

 箱の中に収まった「静的」な存在としての子どもの見方から、絶えずネットワークを介して移動を続ける「動的」な子どものありようがイメージできるだろう。

 休み時間の過ごし方も、席を離れて自由に交流活動をしている時も、あるいは趣味や放課後の過ごし方という目には見えないが強固なつながりも見えてくるはずである。

 全てはそこから始まる。

第2章3節 ネットワーク理論の基礎2「強いつながり」「弱いつながり」 へ続く
本編 「21世紀型学級経営 学級ネットワーク論」

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