孤立する三人組をどう解放するか

学級経営

孤立する3人組をどう解放するか

 学級の中に、しばしば3人組という仲良しが生まれる。経験上、女子が多いのだが、男子もないわけではない。 
 この3人組は、時として強いつながりになることがあり、結果として他の子どもたちとの距離ができるようになる。
 3人でいつも一緒だから、他の友だちが見えない。必要ないという状態になる。
 意図的に排斥しているわけでもないのだろうが、結果として周りからはそう見える危険もある。

 さて、3人組という構成なのだが、一定の期間を置くと、必ずと言っていいほど2対1に分かれてしまう。
 3人のうちだれが1人になるかは分からない。時には時間をおいて順々に孤立していることもある。
 もうこれ以上の友だちはいらないと思っているかのような3人組だから、2対1になったときの1人の孤立は深刻である。

 このような時に教師はどのような対応を取ればいいのか。

 この対応は、孤立する前に、いや3人組ができあがる前に布石を打っておく。すでに学級全体に勝負をかけておく。

 すなわち、こういう友だちの付き合い方をするといざという時に、ものすごく寂しい思いをする、ということを話しておくのである。
(参照 子どもへの話 「三人組で固まる子どもたち」 )

 それと同時に、手を打っておくのだが、これはネットワーク理論をもとに具体的な解決策を作ることができる。
 すなわち、孤立してからけんかを解決させようとか、他の子どもたちと仲良くさせようと思っても、間に合わない。

 日頃から、多様なネットワークを学級の中に作っていく。
 隣の席や学習グループはもちろん、高学年なら委員会活動やクラブ活動もある。学級の中の係活動などもあるだろう。

 そうした多彩なつながりを意図的に学級の中に作っておく。そして、そのつながりの中での子どもたち同士の交流ができるように仕掛けを埋め込んでおく。

 日記のテーマで委員会や係活動について書かせてもいい。学習における交流活動で「今日の算数の説明は、同じ委員会のメンバーでやってください。」というような一見意味が分からないが、何となく面白そうな活動を入れるのである。

 3人組のケンカが深刻になるのは、他の友だちのつながりを断ち切ってしまうからである。だから、その子どもたちが本当に孤立しないように、教師が意図的にさまざまなつながりを作っておく。

 特別に仲良くならなくていい。ネットワーク論でいうところの弱いつながりで十分である。学校生活の中でほんの少し気楽に話ができる友だちが数人いるだけで、孤立感は薄れていく。

 その多彩なネットワークは授業という公の場で作っていくのである。
 教師が授業の中で、さまざまなネットワークを作るように指示することは、子どもたちにとっても違和感はない。

 むしろ授業の中でいろんな友だちと仲良くなれるのは、子どもにとってもいいことなのである。いつも黙って座ったまま教師の話を聞いている授業ばかりだと、子どもどうしのコミュニケーションは休み時間だけになる。

 授業の中でつながりを持たせる。
 学校生活のかなりの部分が授業である。授業の中のつながりが多ければ多いほど、休み時間のつながりの位置づけは相対的に小さくなっていく。

 けんかして1人になった子どもも、授業の中で他の友だちと話ができるだけでも(それは授業なのだから、互いに気にしなくていい。)気は休まるのである。

 けんかをしても、ほかにつながる場所を多様に埋め込んでおく。
 こういうところでも、教師は授業で勝負なのである。

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