研究授業23 協議会の持ち方

学校システム

 協議会の持ち方

 研究授業の後で、授業の協議会が持たれることが多いだろう。
 なんとなくほめ合って終わるようでは、もったいない。
 この協議会も進め方ひとつで、充実度は大きく変わる。効果があった進め方の一例を紹介する。

 協議会の一番初めのプログラムを、協議会参加者全員の感想発表にする。
 全ての参加者に順々に、授業の感想を言ってもらう。それも、一言で。よかったと思うことを言ってもらう。
 内容は問わない。テンポよく一人ずつ言ってもらうことが目的である。

 何よりも先に、この全員感想を言ってもらうのには意味がある。
 一つがアイスブレーキングである。全員が発言することで、会の空気は和んでくる。受け身で参加するつもりだった人も、冒頭で何か言わされるとなると、考えざるを得ない。
 協議会の参加者は教師ばかりだから、ここはさすがに「分からない」という人はいない。

 二つ目が、ほめ言葉ということである。ほめ言葉は言いやすい。どんな授業にもいいところは見つかる。それを発言するのだから、心理的な負担もそれほどない。
 実はほめ言葉を言ってもらうのには、隠れた大切な意味がある。

 研究授業の協議会では、何となく当たり障りのない意見だけが出て、内容が深まらないことが時々ある。こうやって冒頭にほめ言葉が(しかも全員なら、それなりの数になる。)出てしまうと、その後の進行では本質的な内容に踏み込まざるを得なくなる。

 全員から言ってもらったら、次に授業者が自分の授業について意見を述べる
 授業は見たままが勝負だから、あまり長々と言わない方がいい。指導案に書いてあることも説明しなくてもいい。(これは指導案に何を書いているかにもよるが。)

 次に、することはグループ討議である。
 協議会で座席の近い人どうし数名で話し合いをする。ここは2人あるいは3人が望ましい。4人以上は、沈黙する人が出てくる。

 話し合う中身は、授業者への質問、そして意見である。実際に述べなくてもいいが、自由に考えを出し合ってもらう。
 ここでも、やはり参加者は教師だから、それなりの発言は出されるものである。誰しも、理想の授業というのはそれなりにある。授業者に聞きたいことも出てくる。そうしたことを「グループ討議」だからそこ自由に言ってもらう。
 協議会にテーマが決まっていれば、それに沿った方向で討議をする。

 先にほめ言葉を言っているので、参加者はみんな話しやすい雰囲気になっている。そして「いやいや、ほめたけども気になることもあるんだよね。」と思っている。

 グループ協議になると、そうした意見も出やすくなる。全体の前で出す前に、まず口から出しやすくするのだ。もちろん、グループの中で意見を言う中で解決する内容もあるだろうから、それはそれでいい。
 グループ討議の時間は、5分もあればかなりの発言が出るだろう。(その会の雰囲気にもよるので、その都度調整してもらっていい。)

 ある程度の時間が経過したら、全体の場で発表してもらう。

 そのグループごとでなくていい。発言は個人単位でいい。決めなくても、自然にグループの中で話したことや、それから発展したことが発言内容に出てくるだろう。

 まず質問から受け付ける。そのあとで意見に移る。

 ここで気を付けることがある。
 1回の発言で、質問も意見も1つに限定する。

 「3つあります。」なんて言う人がいるが、司会者は必ず進行において、くぎを刺すべきである。
 3つも続けて言うと、聞いている方も分からなくなる。一人で時間を取ることになるのもマナーとしてよくない。

 必ず「一問一答」である。
 どうしても、3つ質問があるなら、ばらばらに出してもらう。2つ目を続けて出そうとするなら、司会者が違う人を指名すればいい。

 地元の研究協議会では、ある質問や意見が出たら、司会者が「関連はありませんか。」と聞く習慣がある。同じようなものはまとめようという発想のようだ。
 (ほかのところでも、あるのだろうか。)

 しかし、これもやめるべきである。
 先の一人で3つ言うのがだめと同じで、連続して質問や意見が出ると、答える方も連続で答える。協議の中で問いと答えが連結してないと思考が混乱する。

 それに「関連」と言いながら、時に全く違うことを言うこともいる。
 授業者への質問は、なるべく短く尋ねるようにお願いする。

 中には、国会の審議のように長々と自説を述べ、最後に「どう思いますか。」という人がいる。国会は与野党の主張のぶつかり合いだから、こうした方法もあるのかもしれない。
 研究授業の協議会ではなじまない。

 司会者が絶対に気を付けることが一つある。
 発言を復唱しないことである。質問や意見が出されたら、授業者に「どうぞ。」と言えばいいだけである。
 復唱によって、微妙にすり替えられたり、省略されたりする。発言者の意図の通りになっていない。(なっているなら、復唱の必要もない。)
 何より時間の無駄である。職員会議やこのような協議会で、一度「復唱なし」を経験すると、再び「復唱」に出会ったときにものすごくイライラする。(笑)

 単純に、協議会の中で発言回数が多いことはいいことだ、という目安を立てておくといい。
 発言回数が多くなるだけで、優れた発言が出てくる可能性も高くなる。

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