とことん学ぶ研究授業への参加の仕方

学校システム

とことん学ぶ研究授業への参加の仕方

 せっかく見せていただけるものなら、学べることは徹底して学んだ方がいい。

 今回は、そういうテーマである。

1 少し早めに行く

 校内の研究授業にでも、しばらく遅れてからやってくる人がいる。実にもったいない。
 研究授業は、始業時間の5分前には教室にいた方がいい。

(授業者は迷惑に思うかもしれないが、遠慮しないで教室にいよう。)

 授業が始まる前の子どもたちの様子と、始まってからの様子の変化をみるのも面白い。
 5分休みだったりすると、子どもたちもまだ砕けた雰囲気だったりする。

 私は早めに行ったら、子どもたちに話しかけたりしていた。他校にお邪魔したときでも、意外に仲良くなれたりする。

 始業前に行く本当の理由は、実はそれではない。

 導入の3分程度を見るためである。

 ここに教師の技量のかなりの部分が見えてくる。
 始業前から着席させ、おとなしく座らせるような教師もいるが、本来ならばそのようなことは全くする必要がない。
 いつもと同じように過ごせばいいのだ。
 そして、時間になり子どもたちが授業の準備を始める。

 授業が始まる。子どもたちの雰囲気から、教師の発問や指示などを頭に叩き込むように見るといい。

 技量の高い教師は、すうっと授業に入る。それも3分後にはもう本論に入っている。
 余計な前置きもなく、子どもを注意するわけでもなく、それでいて特別な圧をかけるわけでもなく、自然に授業に入っていく。

 その瞬間を見ることができるだけでも、大きな学びになる。

2 前から見る

 研究授業は後ろから見る人が多い。
 あえて、前から見る。

 前の入り口のあたりから、子どもたちを見る。子どもたちの視線がどこにあるかが一目で分かる。
 目は嘘をつかない。
 たくさんの教師が来て、きちんとしようと思っているかもしれないが、心の中で退屈な思いをしているのなら、目は下を向いている。

 また、教師が作業指示を出したすぐに、子どもたちがどんな動きをするかも見ることができる。教師の話が耳に届いている学級では、指示と動きの間隔はほぼゼロである。

 これも前から見るとよく見える。

3 代案を立てる

 授業を見ながら引っかかることがあったら、代案を立てる。
 反対意見を考えるのではない。もし、代わりにやってみろと言われたら、すぐに子どもの前に立てるように、言葉から立ち居振る舞いまでをイメージするのだ。

 難しいが、これができるようになってくると、自分の授業も変わってくる。

4 仲間と話す

 同じ授業を見た同僚や先輩と必ず授業について話をする。

「今の授業、どう思った?」と切り出してみて、意見を聞いてみるといい。

 お互いに教師だから、どんなに経験が浅くても何らかの意見は持っている。聞いてみると、全く自分とは違う見方をしていることもある。それもまた勉強になる。

 全体で行う協議会の中で意見が出なくても、このような雑談の場で本音が出たりする。
 自分が一目置いている教師のところにいって、意見を聞いてみるのもいい。

5 授業者に終わってから話を聞きに行く

 授業を見せてもらったお礼に行き、その場で話を聞く。 子どもたちの動きや、発言が優れていたりする場合は、授業のはるか前から子どもたちを育ててきている結果なのである。

「どうしてあんな風に子どもたちが動くんですか。」

 と思い切って切り込んでみるといい。

 多くの場合は、授業者もよく分かっていなくて無意識に指導していることもある。時間が許せば、あれこれと問い方を変えてみて、秘密を探るといい。

 授業者も、本時に向けてがんばったのである。緊張もしただろう。
 ねぎらいの気持ちを込めて、授業の話を聞いてくれる同僚の存在は、やはりうれしいものである。

6 手紙を書く

 授業者にお礼の手紙を書くこともお勧めする。

 ただしこれは、どちらかといえば管理職や教務、あるいは先輩教師がすることが多いかもしれない。
 書いてみると分かるのだが、文字化にはものすごく頭を使う。イメージの言語化には手紙がいい。
 書こうとするとイメージが頭の中から逃げていく。
 それを必死につかまえて、言葉にする。すると、授業の映像が自分のものになっていく。

 授業者に出すのがはばかられるようであれば、自分の記録として書き留めておくだけでもいい。

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