学年主任8 時数計算は決して粗末にしない

学校システム

時数計算

 評価基準と同じくらいに、学年主任の高段の芸となるのが、時数計算である。
 時数の管理ができるようになると、学年の動きは見事に変わる。
 これは、実は学年主任に限ったことではなく、各担任一人一人の力量も問題でもある。本来ならば、学年主任が独りで管理するものではない。
 担任が自分ですべきところである。(参照  )

 時数には文部科学省が決めた標準のものがある。
 それをもとに教務主任が提案する学校の年間指導計画があるはずだ。
 ここには、その学校独自の時数配置が示されている。行事や時間割などによって、学校ごとに違うのは当然だからだ。

 学年主任は、その教務主任の作った年間指導計画を生きたものにするのが仕事である。
 毎週ある程度は固定された時間割となるだろう。

 しかし、行事や休日のせいで調整をしなければならないことが、かなりある。
 ゲストティーチャーや専科、あるいは特別教室の使用割で時間割はどんどん複雑になる。
 それらを全部踏まえつつ、授業が効率的に進むようにコントロールするのが学年主任の仕事である。

 そして、いずれは各担任が全て自分でできるように、ノウハウを教えていくのも仕事であろう。
 自分の知っている学校では、学年主任が時数を全て管理し、学年の教師はそれに基本的に合わせていく方法を採っていた。
 この方法だと、確かに時数の偏りや抜け落ち、行事などの調整は間違えないかもしれない。

 しかし、学級固有の課題もある。
 けがなどの事案のせいで、ある時間がほとんど自習になってしまったら、どこかで埋め合わせを調整しなければならないだろう。
 終わらせるつもりでも、どうしても単元が時数内で終われなかったこともあるだろう。
 そうした、学級ごとの調整を担任が自分でできるように、学年主任の提案は緩やかにやっておいた方がいい。

 そのためには一月、できれば学期全体の時数を事前に示しておけるといい。
 それがあれば、担任も自分で調整が可能となる。

 なお、一番やってはいけないのは、場当たり的に時数をコントロールすることである。
 運動会の本番が近づいてきたときに、「あんまりダンスが上手ではないから、練習時間を追加しよう」というようなことは、禁じ手である。

 若手の教師は、主任がそう言いだせば断ることはできない。
 急な体育の追加は、そのまま他教科の時数削減になるのだ。授業の進度や時間割が混乱すると、そのまま子どもに影響する。
 無理やり時間を詰め込むと、子どもからも疎まれる。

 これを運動会などではなく、通常の単元でもやってしまう人がいる。
 指導計画の全体が見えてないのか、「国語が遅れているから、来週の国語の時間を増やそう。」というような、積み上げ型で時間割を決めていく。
 そうやって国語を増やしたら、代わりに何かの時数が減っているのか、あるいは学期末に国語が不足するのである。
 それも、国語が遅れているのが学年全部ではなく、主任だけだったりすると状況は最悪である。

 時数管理ができない学年主任の下でチームを組むと、学年の授業がガタガタになる。
 そのあおりを食らうのは、若手の学級の子どもたちなのである。

 心して時数管理をすべきである。

学年主任シリーズ 意外に語られてこなかったことに独断と偏見で切り込みます
01 先の見通しが第一の仕事
02 勤務時間は厳守!
03 やってはいけない打ち合わせ
04 チームでの合意形成の方法
05 初任者の教室を1000回見た
06 高段の芸「評価基準」
07 新しいことに挑戦しよう
08 時数計算は決して粗末にしない
09 そろえることより説明責任
10 仕事の任せ方

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