教室ルールの原則

学級経営

教室でルールを作る原則

 教室でも複数の子どもたちが一緒に生活する以上、当然ルールは必要になる。
 教室で生活をしていく上でのルールはたくさんある。

 どの学校でもおよそ共通している文化のようなもの、その学校の共通となっているもの、学級担任が独自でつくったもの、子どもたち同士のやりとりできまったものなど、その発生理由はそれぞれにあるだろう。

 それらは大きく二つに大別できると考えている。

 一つは学校生活固有のルール、「業界ルール」と呼んでもいい。
 もう一つは社会でも必要なルール、「社会ルール」と呼んでもいい。

 学校生活固有のルールは、今の学校生活を営む上で便宜上必要であるが、社会に出たときには使われることのないルールを指す。
 例えば、給食や掃除の当番のルール、学級での朝の会や帰りの会の進行、などがそれに相当するだろう。授業の中にも細かく言えばたくさんある。
 これらのルールは、子どもの成長にそれほど大きな影響を与えるわけではない。今の生活に支障がなければいいものである。
 平等性や安全性が担保されていれば、日常生活の効率や機能性を重視すればいい。

 掃除における「ほうきの使い方」は、「正しい使い方」というよりは「機能的な使い方」が大切である。つまり、どうすれば短時間で確実にごみが取れるか、が分かればいい。

 (参照ページとリンク予定。)

 給食当番をどうやって回すかというようなことに、それほど重点を置かなくてもいい。要するに子どもたちが分かればいいのである。教師がシンプルな内容を示し、それを進めていけばいい。
 「子どもの将来の何の役に立つか」を考えて、学校生活で完結するようなものは、そこで割り切っていい。

 これに対して、社会でも必要なルールは、時間をかけていねいに指導をしていく必要がある。学校での学びがそのまま社会生活に転用される。
 子どもたちにも、教室が社会の縮図であり、今これを学ぶことが社会に出て役立つことだと教えなければならない。
 同じ給食でも食べるときのマナーなどはこれにあたるだろう。図書の本の借り方はローカルルールでも、図書館での過ごし方は社会ルールであろう。

 教師が頭の中でこの二つを分けているだけで、子どもたちへのルールの提示は明確になっていく。
 反対に言えば、細かいルールを山のように作り、それを全て徹底させようとすると、無理が生じる。子どもたちには守る必然性を感じられず、ルールも多いとつい忘れる。
 教師は後に引けないから、つい細かく注意をしていまい、子どもが反発をする。

 ルールの基本は「社会ルール」の方である。
 守らない子どもたちには、「君たちのその行動では、今学校では通用しているけど、社会では通用しません。つまり、学校の中で甘えているだけです。」というスタンスで指導ができる。
 そして、この「社会ルール」は、互いが気持ちよく生活するという土台が前提となっているので、実はそれほど複雑でなく、子どもたちもある程度考えたら分かるようなものが多い。

 学校内で決められる「業界ルール」は、学校や担任が恣意的に決めている。だから、場合によっては子どもたちにとって守る必然性が感じにくいものもある。
 教師は、本当にそのルールが必要か常に検討した方がいい。
 「社会ルール」の範囲で決められるものは、個別の業界ルールを作らない方がいい。

 例えば、図書室で静かさはどのくらいが必要だろうか。
 これも、細かい文言で説明するよりも、市民図書館などで子どもたちが過ごすことをイメージして決めればいい。

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