子どもの思考の特徴

初等教育論

 子どもの思考の最たる特徴は、現実を「そういうもの」とありのままに受け入れることであろうと考えている。
 この特徴があればこそ、人間は変化することができてきた。

 私が子どもの頃にはもちろん、スマホなどなかった。その気配すらなかった。
 しかし、今はもはや日常生活用品である。
 今の子どもたちにとっては生まれたときから、それは「存在する」。子どもたちは「そういうもの」と受け止めている。
 なぜスマホがあるのかというような思考にはならない。昔と比較して便利だとかも実はあまり思っていない。
 今そこにあるだけである。

 だから、今の子どもたちの思考も生活もそこからスタートする。スマホが日常生活の中にあるところからスタートし、それを活用する。
 
 やがて、さらに年月を経て、また新しいものが生まれてくる。
 その時に生まれてくる子どもたちは、スマホを古いものと規定し、そのときにあるものを「そういうもの」と受け入れながら成長する。

 こうして新しく子どもが誕生して、そこからゼロとしてスタートして社会が始まるからこそ次の変化がある。
 これがもし、人間が死なないで同じ人々がずっと生きている社会なら、変化を拒み、今のままを肯定している生活をしているかもしれない。

 この「そういうもの」として受け取る感覚は、場合によって良くも悪くも作用する。

 秩序が乱れ、犯罪や暴力が日常の生活に生まれ育てば、その社会を「そういうもの」として受け入れるだろう。
 反対に、清潔で穏やかで平和な社会に生まれ育ては、それを受け入れる。

 外国人とともに生活する中に生まれ育てば、それを受け入れ、障害を持つ人とともに生活をすれば、それを受け入れる。

 子どもたちの(特に幼ければ幼いほど)脳は、それを素直に受け入れる。

 教育のスタートは特に幼児期や初等教育期には、どんな環境でどのような価値観を伝えていくかがとても重要になってくる。

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