日記指導のススメ

教育技術シリーズ

 担任時代は、日記を書かせていた。ほぼ毎日である。土日は休みにしていた年もあれば、土日も書かせていた年もある。

 日記は、学習指導の上でも学級経営の上でも、極めて強力な武器となる。

 学年でそろえないといけないとか、ノートはどうやって準備するのか、など課題はあるだろうが、もし状況が許すのなら、取り組むことをぜひともおすすめしたい。

 国語の4領域「聞く」「話す」「読む」「書く」は、習得に段階がある。

 まず「聞く」がくる。乳児は親からの言葉かけによって言語を理解する。
 次にそれに合わせて返そうとする。それが「話す」である。
 そして、話した言葉には文字が連動していることに気づき、文を理解しようとする。これが「読む」である。
 最後に習得した文字や文法を使って、自分自身も文字を使って表現しようとする。これが「書く」である。
 書けるようになり4領域がそろうようになると、各能力は相互に影響しあい、さらに発展していく。

 しかし、言語の習得は、この順番で行われる。「書く」が最終段階であり、よって「書く」が最も難しいことは理解しておかなければならない。小学校でようやくひらがなの学習が始まるのもこのためである。わが国では、7歳にして文字の習得を始めるということだ。

 国語の学習にももちろん「書く」活動は入ってくる。そして、初等教育の段階で書けるようになっておかないと後々に不利益を被ることは容易に予想できる。
 しかし、その重要性の割には、学校の中で書く活動の時間は十分に保証されない。

 小学校ではどの教科の学習でも体験活動が中心となる。教師が意図的に学習を組み立てていかないと、その体験を表現するのは、音声言語つまり「話す」「聞く」だけで支えがちになる。
 授業の中でどうしても「発表する」「発表を聞く」という活動が増えてしまうのはそのせいである。

 書かせるのは手間がかかる。子どもも、どちらかと言えば面倒な活動だと敬遠しがちである。それだけ負荷のかかる活動なのである。

 それゆえに、子どもたちに書き慣れてもらうための絶対量を確保したい。ともかく、文字をつづる体験を大量にさせておきたい、個々の指導はその上にしか成り立たない。

 そう考えると、取る手立てで最も簡単な方法が日記だった。日記を毎日書かせるという方法が、子どもの生活の中に一番落とし込みやすい。

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