水泳指導6 顔を水につける

体育授業のコツ

水泳指導ステップ1 顔を水に付ける

 慣れていない子どもは顔を付けることが怖い。経験不足が、頭の中で恐怖を増幅させる。息ができないことは本能的に怖いのだ。
 だから高学年でも、顔を付けられない状態であれば、保護者の協力も必要かもしれない。

 長く病気で水泳ができず、6年生になって初めてという子どももいるだろう。おぼれた経験があり、ずっと水に入れないでいた子どもに出会ったこともある。

 顔を水につけるときに、朝に顔を洗う時のように、水の正面に向いて、鼻から入れようとするから、怖くなる。一番初めに鼻が水に入ることで、呼吸ができなくなるからだ。
 (念のために言うと、子どもは鼻から入ると呼吸できないと意識しているわけではない。本能的に恐怖が生じるのである。)

 だから、初めは風呂に入るように、肩からだんだん沈めていく。
 肩まで入れば、次はあご。顎まで行けば、次は口。と少しずつ深くしていく。

 この経験は実はお風呂でしたことがある子どもがほとんどである。口までつけてブクブクとした経験はおそらくほとんどの子どもがやっている。

 その話をして、お風呂と同じようにやってごらんという。風呂よりも水温が低いために、同じ感覚にはならないのだが、子どもにはそんなことは言わない。

 風呂と違って近くに友だちがいると波が来ることがある。それが怖いという子どももいる。この場合は、両手で水面上に小さな池を作らせる。これである程度は防げるし、心理的安心感はかなり出てくる。

 口まで行けば鼻、鼻の次は目、そして耳。

 耳のラインまで水が届くことは一つの壁である。音の聞こえ方が変わる。周りの音が聞こえにくくなることで、一種の恐怖感を呼び起こすようである。
 あの水の中の沈黙の世界が心地いいと思うにはしばらく時間がかかるかもしれないが、回数を重ねるごとに慣れてくる。

 ちなみにゴーグルは積極的につけさせていい。未だに基本禁止というところもあるが、時代遅れだと考えていい。

全員25m完泳を目指す水泳指導ラインナップ

水泳指導 準備シリーズ 学年全員の指導をターゲットにします
 01 泳げることの向こう
 02 指導は5月に始まる
 03 指導の全体像
 04 子どもたちのエピソード
 05 指導の系統

水泳指導 浮きの指導シリーズ 苦手な子どもたちはここからていねいに指導します
 06 顔を水につける
 07 もぐる
 08 浮く指導
 09 浮く指導の小さなステップ
 10 ふし浮き
 11 けのび
 12 けのび微細な指導

水泳指導 息つぎの指導シリーズ 25m完泳しない大半の理由はここにあります
 13 息つぎ
 14 ボビング
 15 連続したボビング
 16 浮きと呼吸の連動
 17 浮きと息つぎの発展

水泳指導 ストロークとキックの指導シリーズ 協応動作という考えを水泳にも取り入れます
 18 キックとストローク
 19 ストロークどこを見るか
 20 腕に水の抵抗を感じるか
 21 キックの練習
 22 キックとストロークの連動
 23 ブレスをいれた泳ぎ 
 24 クロールのブレス

水泳指導 目標の25mへの指導シリーズ いよいよゴールへ向けて詰めの指導です
 25 完泳への力を蓄える
 26 目標25mへ
 27 完泳までの道のり
 28 酸素摂取能力

水泳指導 まとめシリーズ 学校全体で指導ができると負担軽減・効果倍増なのです
 29 保護者への話
 30 全校での指導
 31 全校での指導系統案

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