全ての子どもに存在感と達成感を

現代教育論

 全ての子どもに存在感と達成感を

 これは私の学級経営の目標だった。今なお変わらない。

 学校は子どもたちに何ができるのかをぎりぎり絞ったときに、この言葉にたどり着いた。
 子どもたち全員が一人残らず、「ぼくにも居場所がある」と実感すること、そして「ぼくってできる子どもじゃん!」と自信を持つこと、この二つを心に置いてくれるようになれば、これから先も生きていけるという思いである。

 水泳で25mを泳げなくても、大人になって困ることはほとんどない。それでも水泳の学習をするのはなぜか。
 水の中でもある程度の行動ができ、泳げるようになるという身体能力的な目標はもちろんあるだろう。それにもまして、自分にも新しいことを勉強したらできるようになったという感覚が必要なのだ。

 そうした感覚が積み重なっていくと、新しい困難に直面しても「今までもがんばれたから、これからもきっとできるに違いない。」と自分への自信を深めることができる。

 仲間に応援され、アドバイスを受け、できるようになったときに、そのつながりに感謝する。自分がアドバイスする側になったときも、友だちの成長を自分のことのように喜ぶことができる。

 学校生活を通して子どもたちが人としての自分の価値を自覚できるようになるほどに、将来的には困難に立ち向かえるようになるはずだと考えている。

 そのために、教師は子どもたちに実際の授業でそれを実現していかなければならない。百の訓話よりも一つの指導でいい。

 漢字テストで満点を取ること、計算ができるようになること、図工の絵が納得のいくように完成すること、そんな一つ一つの学習場面が、子どもたちの存在感と達成感を高めていくための「道具」であり「チャンス」だととらえる。

 そう考えると、授業の在り方も変わるだろう。叱咤激励ばかりの授業では、達成感もわかないだろう。

 教育技術は目指す授業を実現化するために、身につけるものだ。

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