進学2

現代教育論

 高校時代、進路を決めるぎりぎりまで何も考えていなかった。希望する職業も特にはなかったし、それが決まらなければ大学も決められまいとも思っていた。

 そもそも家が貧しかったので、大学進学は無理だろうと高校1年くらいまでは思っていたが、現実的な選択として普通科にいる今このまま卒業しても何にもできない。

 かといって、地元の大学で国立大学と言えば九州大学、当時の私は、国立の九州大学と私立の福岡大学の2つしか知らなかったという、あまりにものを知らない状態だった。

 あるとき、友だちの会話の中で「福岡教育大学」という名前が聞こえた。

 「なんだそれ、大学はみんな教育するところだろう?おかしな名前だ」と思って友だちに聞いたら、「知らないのか、学校の先生になるための大学だ」と言われて、驚いた。世の中にはそんな大学があるのかと、初めて知った。

 その時、不思議なことに、天命が下りてきた。

「自分はその大学に行って、学校の先生になろう」

と突然思った。自分でも(今でも)不思議である。

 私は学校というものにあまり愛着がなかった。大好きな先生は何人もいたが、自分もその仕事に就いて後を追いかけようという発想などみじんもなかった。金八先生をはじめとする学園ドラマもはやっていたが、まるで興味がなかった。そもそも小学校の時は学校の先生にだけはなるまい、なれない、と思っていた。ロボットマンガを描いていて機械の設計なんかおもしろいと思っていたくらいだ。

 しかし、突然決めたのである。

 その後、しばらくして親に話した。大学進学に今までお互いに触れていなかったのだが、お願いをした。

 いろいろあったが、結果として合格した。

 高校も無償の奨学金をもらいながら行っていたのだが、大学でも無償の奨学金を受けることができた。その上、1年生の後期からは授業免除のお願いが通り、私はお金をもらいながら大学に通うことができたのである。

 あの時の天命のおかげで、天職に出会えた。

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