年間指導計画を分析せよ

働き方改革

年間指導計画を分析せよ

 どこの学校だって指導要領に従って授業を進めるわけだから、それほど大きくはかわらないだろうと、ふつうは思う。

 ところが、ふたを開けてみると、学校によって違うところがたくさんある。

 6年生を例にとる。
 おそらくは多くの学校で、6年生の週時数は29時間ではないだろうか。
 ところが、これが週30時間になっている学校もある。逆に28時間になっている学校もある。

 1年生ならば、毎日5時間授業の学校もあれば、ときおり4時間授業の日がある学校もある。
 下校時間など、本当に学校によってばらばらである。私も勤務する学校で最大30分間の開きがあった。短い方が自分が教務主任の時に時制の変更を出したときの時制である。

 ばらばらであること、そのものは問題ではない。
 教育課程を編成する責任は各学校にある。それぞれが意味と目標を持って、編成をすればいいことである。

 問題なのは、そのからくりを教師がどれだけ理解しているか、である。
 他校のうわさは聞く。しかし、なぜうちの学校と比べて違うのか、その理由は分からない、という教師は相当数いる。

 これは教務主任が編成するであろう各学校の「年間指導計画」をどれだけ読み取るかにかかっている。

 高学年の場合、行事の時間がどうしても多くなる。
 しかし、行事の時間の組み込み方はいろいろある。

 例えば、修学旅行を例に挙げると、修学旅行そのものの時間や準備にかかる時間を全て「学校行事」として計上するのか、一部を「教科」の時数に組み込むのか、あるいは全部を「教科」に組み込むのかで、年間総時数は大きく変わる。

 修学旅行は2日間行くとして、単純に12時間計上される。仮に、さまざまな準備が8時間必要だとして、全て計上すると、修学旅行だけで20時間必要になる。

 これを仮に全部、授業に組み込むとする。社会や理科や国語にいれたり、準備は学活などを使ったりする。すると、20時間はないのと同じである。

 これを運動会でも、学習発表会でも、その他諸々の行事でも同じようなコンセプトで組むと年間を通して、何十時間もの差が生じる。
 一年間は約40週間学校に行く。行事を「学校行事」として計算した結果、40時間の増加ならば、週に1時間増えることになる。つまり週時数が30時間になる。

 反対に全て「教科」の時間に組み込むとどうなるか。
 社会の時間を5時間修学旅行にあてようと思えば、通常の教科書の内容を教えるための時間は5時間カットになる。
 少ない時間の中で時間で教科指導をすることになっている。

 学校によっては地域行事に参加することや、総合的な学習の時間での活動など、独自に時間を大量に使っているところもある。
 それがどのくらいの時間があり、全体をどのくらい圧迫しているかを数字として知っておくと、計画を立てるときに便利である。

 年間指導計画には、余裕時数があるだろう。

 この時数をどのくらい持っていいものか、あるいは何に使うかは、学校の判断もあれば、教育委員会の規定もあるかもしれない。

 いずれにしても、ゼロではないだろう。臨時休業も含めたさまざまな対応のために余裕は必要だからである。
 この余裕時数を予めどれだけ確保しているか、またはどのような使い方にしているかで学校の計画は大きく変わるのである。
 1年生は毎日5時間授業にすると、かなりの余裕時数が生まれるはずである。

 ここで二つの考えが生まれる。

 余裕が多いから、定期的に早めの下校、つまり週に何日かは4時間授業にしよう、という考えと、上の学年に合わせるために全部5時間にする代わりに生まれる余裕時数を学力補充などの時間に当てようという考えに大別される。

 これもどちらが正しいということはない。学校の判断である。

 大切なことは、職員のみんなが「からくり」を知っておくということである。知っておけば、意見も言えるし、時間の活用の仕方も自分で判断ができる。

 年間指導計画を理解しておくことは、自分の仕事の数字を理解することである。

 忙しいと感じたときの根拠を数字で説明するための分析力が必要である。

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