学年主任4 合意形成の方法

学校システム

チームにおける合意形成の方法

 学校という職場では、学年はチームとは言え基本独りで仕事をしているので、いつも話し合いができるわけではない。
 放課後の短い時間で打ち合わせを済ませる必要がある。
 かといって、学年主任が自分で決めるわけにもいかないし、若手に丸投げすることも憚られることもある。

 そこで、合意形成の方法を紹介する。
 簡単に言えば、各自が「宿題」を打ち合わせに持ちより、それをもとに話を進めていく方法である。

 学習発表会で合唱をすることになったとする。
 曲を決めなければならない。どうやって決めるか。

その1

 まず、曲の方向性はざっくり決めておく。
 正統派の合唱曲を歌うのか、振りを入れて盛り上がるような感じにするのか、などを大まかな方針を話す。この段階では、具体的な曲目を決めない。主任の立場でも、曲を想定しておかない方がいいかもしれない。

 先に曲ありきだと、この話し合い自体が無駄である。
 方針が決まったところで、選曲をする。

 来週の打ち合わせまで等と期限を切って、各自で曲を選んで持ってくるようにする。
 今はネットでもたくさんの曲を聞くことができるし、同学年にも同業の友人もいるだろう。情報はそれぞれ集めてくる。

 次の打ち合わせの時に、持ち寄った曲の中から選ぶ。曲の難度や雰囲気などで決めることになるだろう。楽譜まであれば決めるときにさらにいい。
 一度それぞれが選曲することが、経験を積むことになる。

 最終的に意見が分かれてしまったらどうするか。
 自分の場合は、学年の指導をする担当者(音楽なら指揮者)が最終判断をしていいことにしてきた。
 提案者優先の原則である。

その2

 学年のメンバーが「合唱曲などよく分からない」と遠慮気味の場合。
 自分が、良さそうだと思う曲を数曲選んで、学年に提案する。その中で、選んでもらう。

 この方法だと、自分もすでに納得済みの曲の中から選んでもらうので、どれになっても合意形成ができたことになる。
 この方法は自分が主任ではなく、後輩だったときに主任に最終的に曲を選んでもらうために採った方法である。

つまり・・・

 合意形成のためには、早い段階から話題の提供が必要である。

 そして、初めの話し合いで方向性を決めて、その流れで「宿題」を決める。
 次の打ち合わせで「宿題」を持ち寄り、その案の中から決めていく。
 仮に決まらなければ、再度「宿題」という形で一度時間を置き、次に決定する。

 話し合いの場は「決める場所」、じっと顔を突き合せた状態で「どうしようか」とやっていては、いくら時間があっても足りない。

 「宿題」と言えば、超過勤務のようにも聞こえる。しかし、時間は一週間程度取れば、空き時間を自分で判断して使える分だけ、時間の調整もできる。それを家で調べるか、学校で調べるかは、本人に任せておけば負担にもならないだろう。

学年主任シリーズ 意外に語られてこなかったことに独断と偏見で切り込みます
01 先の見通しが第一の仕事
02 勤務時間は厳守!
03 やってはいけない打ち合わせ
04 チームでの合意形成の方法
05 初任者の教室を1000回見た
06 高段の芸「評価基準」
07 新しいことに挑戦しよう
08 時数計算は決して粗末にしない
09 そろえることより説明責任
10 仕事の任せ方

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