体育指導46走り高跳び9

走り高跳び9

 一つの単元をどのくらいの時間やればいいのだろうか。

 記録が伸びてくる姿を見ると、ずっと何時間も続けていれば、さらに記録は伸びていくようにも思える。

 しかし実際の学習では、ある期間を過ぎると伸び悩むようになる。これは、いわゆるプラトーと呼ばれる人間の習熟のパターンにはいるのだろう。

 部活動のように、今後何か月もトレーニングを重ねるのであれば、プラトーを突き抜けるときが来るかもしれない。

 小学校の体育は多様な運動を経験させることも目的の一つである。

「ああ、楽しかったなあ。もうちょっとやりたかったなあ。」と思うところでやめておくのも一つの方法である。

 個人的には4時間で適当であると考えている。

 第1時で示したように、初期の段階で楽な動きをたくさんさせることで、単元を通して「高跳びという運動」の量はかなり確保できている。そうした、学習の組み方をすれば、どの単元でも単元全体を通しての運動量は増え、一定のところまではどの子どもも確実に上達していく。

 また、単元の後半では、それぞれの目標に合わせて取り組むような選択の場を設定し「考える体育」「自分の目標に挑戦する体育」へ転換させていくことで、質的にも向上していくと考えている。

 授業が効果的に進めば、4時間でもかなり密度の高い授業になる。子どもたちの満足度も上がっていると考えている。

 繰り返すが、小学校の体育は、運動能力の向上とともに、自分も成長できたという実感を味わわせることも同じくらいに重要なのである。

 わずか数時間の単元でも、それを可能にするための組み立てを考えるのが教師の仕事である。この授業では、上手な跳び方を自分たちで考えさせる部分を省き、初めから「はさみ跳び」を教えることで、短い時間で効果を上げることができたと考えている。

 ゼロから子どもに考えさせることを良しとする考えを時折聞くが、私はこのように基礎となるべきことを明確に指導し、全ての子どもができる状態にしてから初めて、一人一人が考え工夫する場を設定すべきだと考えている。我々が携わっているのは初等教育である。

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