小学生のテストは教材そのものである

教育技術シリーズ

 小学生にとって、テストは教材そのもの、学びの道具である。

「やがてやってくる受験のために今から準備が必要だ」という人もいるが、仮にそうだとするならなおのこと、テストは教材であり、学びの道具である。

 学校での学習は、主に音声言語でやり取りがなされる。教師が話していることを子どもが聞き取り、子どもが発言したことを教師が受け取る。問題を解くときには文字言語を使うこともあるが、教師と子どものやり取りはほぼ音声言語である。

 これに対して、テストだけが文字で問い、文字で答える。文字言語でのやりとりである。
 学校生活の中では、文字言語のやり取りは圧倒的に少ない。子どもたちがテストでミスが多いのは、圧倒的な経験不足が原因だからである。

 塾はそれが分かっているから、正確なやり取りをさせるため(つまり点数と取らせるため)に、うっかりミス対策をきっちりやる。塾に行く子どもたちが、点数が高いのはそれが原因である側面も強い。

 学校では、日常的になされていない文字言語によるやりとりで、子どもの学習を評価しようとするから、混乱している。学習内容が分かっていないことも、言葉のやり取りがうまくいっていないことも、一緒に扱っている。(点数は点数である、と。)

 この教師の安易な判断によって、自分は勉強ができないと落ち込む子どもが出たり、塾に行かないと勉強ができないと誤解する親が出てくる一因になっている。

 子どもたちに文字言語のやり取りをトレーニングする時間を取ることは、現状では難しいだろう。
 だからこそ、テストが教材となる。

 このテストそのものを使って、文字言語のやりとりを教えてしまえばいいのである。すなわち、解き方、答え方を指導すればいいのである。

 幸いなことに小学校にいる間にはテストは何十枚も行う。少しずつ教えていくだけで、子どもたちの能力は高くなる。塾との違いも次第になくなっていく。
 子どもたちは、やり方が分かってきてテストへも意欲的に取り組むようになる。成果の出し方のコツが分かるからである。
 具体的な指導法は別記する。(更新中です。お待ちください。)

 「そうはいっても、テストはテストだし、評価も必要でしょう?」
 「テストを使って指導して、点数が上がるというのはおかしくないですか?」
という疑問の声も上がりそうである。

 答えを教えるわけではない。
 解き方、答え方つまりルールを教えるだけである。
 野球をするときに、どれだけ豪快なホームランを飛ばしても、三塁に向かって走ればアウトになる。それを「アウトになるよ」と教えるだけである。
 今までの学校は、それを知らないことも子どもの実力だと言っていただけである。

 かつて勤務校では実際に行っていたのだが、可能であれば学校全体で取り組むといいのだ。
 低学年のうちから、1枚のテストで1問ずつでいいから「解き方・答え方」の指導をしていけば、高学年になったときには、どの子どももほぼできるようになる。
 一度教えれば、それはテストを繰り返すたびに力として定着していく。結果として、テストの結果はみるみる上がっていく。 

 何度も繰り返す。教師の心の中に「テストは合否判定をするもの、選別をするもの」という高校大学や教員採用試験のイメージを小学校での指導に残している限り、子どもたちのテストの点数は、絶対に上がらない。

 教師の発想の転換と、少しの工夫で、劇的に変わるものなのに、教師の思い込みがそれを阻んでいる。塾を増長させ、親の不振を招き、子どもを劣等感に貶めている。

 ほとんどの子どもたちが高得点を取るようになると、本当にこの言葉の意味が理解できる。
 「テストが全てではないよね。」

テストの指導ラインナップ
 市販テストの点数を上げる
 テストに対する教師のメンタルブロック
 漢字のテストの目的は何だったのか
 小学生のテストは教材そのものである
 テストはまず問題文を読ませる
 テストの解き方・最低限の知識
 テスト実施方法
 テスト採点方法
 テスト保管方法
 テストで名前と文字の指導
 国語のテストの解き方1 見つける
 国語のテストの解き方2 読む習慣
 国語のテストの解き方3 問いに対応
 国語のテストの解き方4 言語の問題
 社会のテストの解き方
 算数のテストの解き方1 ミスとの闘いに勝つ
 算数のテストの解き方2 過程を書かせる
 算数のテストの解き方3 見直しの仕方を教える
 算数のテストの解き方4 裏面は授業の反映
 理科のテストの解き方
 テストの平均点 数字から子どもを見る方法

新・教育技術シリーズ index

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