テスト採点方法

教育技術シリーズ

 テストの採点の目標は、以下の通りである。

 実施した時間内に採点まで終わり、返却し、やり直しまで完了すること。

 高学年のテストではなかなか難しいが、内容によってはできないことはない。また、常にこの目標に向かって全力で作業すると、放課後の事務量は激減する。

 また、すぐに返却することは、子どもたちにとってもいいことづくめである。
 記憶が新しいうちに返却されると、間違いを修正しやすい。その間違いの理由についても考える。
 しばらく経過して返却されると、自分がどんな答えを書いたかも覚えていないため、間違えた理由よりも単に点数だけが気になってしまう。
 ついでにいうと土日もまたがない方がいい。授業の最後の時間と同じ時間にテストができるよう、時間割を調整する。

 テストの採点が授業時間で終わるだけで、生涯教師を続けていく上でどれだけの時間が生まれるだろうか。子どもたちも喜ぶし、後回しにする意味は全くと言っていいほどない。

 時間内に採点が終わらない場合もあるだろう。
 高学年だと、問題数も多いし、答えも複雑になる。(この点、低学年のテストは簡単だ。)
 そのために、テストをするときは、時間割の1時間目や2時間目に設定する。
 そうすれば、その日の空き時間にこまめに採点をして、子どもの下校までにはほぼ間に合う。

 テストは点数の記録以外は教室の外に出さないようにする。私は記録も自分のファイルにやっていたので、テストは一歩も教室の外を出なかった。
 特に、我が子が生まれてからは、自宅での採点など全くしなくなった。そもそもバス通勤なので恐ろしくて持って帰れない。

 学校にデジタルの校務支援システムがあり、職員室で点数を入力しなければならないところもあるだろう。(教室にあるPCから入力ができればいいのだが、システム上なっていないところもある。)
 この場合、方法は三つある。
 一つは、仕方がないので一度は職員室に(休み時間などに)持って降りて、急ぎ入力して再び教室に持って上がるという方法である。
 もう一つは、採点が終了次第、一度子どもに返却して修正をさせ、再び回収して改めて入力するという方法である。一度返却していると、子どもたちは自分の点数も間違えたところも確認済みなので、急ぐ必要はなくなる。ただし、二度返却することを手間だと思うこともある。
 三つめは、紙ベースのファイルを別個用意し、教室ではそれに記入しておく。あとからそのファイルの数値を校務支援システムに入力する。これも二度手間を面倒に思うこともあるだろう。
 私は、子どもにすぐに返却をすることを優先したために、第一の方法を採ることが多かった。

 採点方法を紹介する。

1 終わった子どもから提出させる 
 テストをさせてしばらくすると、速めに終わる子どもが出てくる。
 一定数(私の場合は15人~20人程度)が終わっていたら、教師のところに、提出するように指示だし、受け取った子どものテストから、猛烈に採点していく。

2 大問単位で採点する
 採点は、大問単位(□1、□2など)で、教師が答えを覚えられる位の範囲を行っていく。大問1が終わったら、大問2を採点していく。解答を見なくていいので、採点が速い。
 あるいは、満点になっていそうな子どものテストを1枚だけ選んで、左半分だけ採点する。
 その左半分を見ながら、残りの子どもたちのテストを付けていく。この方法だと、異なった答えを書いているところが目立つので、採点が速く終わる。

3 便利な道具は活用する
 テストの採点には赤鉛筆を使っていた。
 子どもたちにも使わせていたし、ペン類はインクで汚れる危険があるので、避けていた。
 赤鉛筆だと連続して使うと芯が減る。しかし、いい道具がある。ノック式の赤鉛筆である。

 そうしていくと途中から提出する子どもも当然出てくる。
 そのときには、その子のテストの大問1から採点して、テストの束の中に入れていく。それを繰り返していく。途中から加えていっても、採点のテンポは落ちない。

 こうやって採点していくと、最後に提出する子どもを待つうちに、ほとんど終了してしまう。

 全員の採点が終わっても時間が余っているようなら、先にも述べたように、その段階ですぐに返却する。子どもたちも結果を知りたがっている。
 やり直しもすぐにできる。最近は子ども用の答えシートもあるので、それを配付して答え合わせもすぐに終了させる。
 やり直しが終わったら今度は名前順に回収し、職員室に持ちこんで校務支援システムに入力すればいいの。

 保護者への返却は別の方法がある。(参照「テストの保管方法」

 「早く出した子どもたちは、うるさくならないのか」という質問が時折出る。
 提出しなくても、終わった子どもは暇である。終わった子どもたちが何をするのかは、先にルールが必要である。
 私の場合は読書だった。これは、テストだけでなく「空いた時間に何をするのか」というルールをあらかじめ決めておく必要がある。自学でもなんでもいい。一人で、席を離れず、しかもしゃべらずにできるものに限定する。

 「大問ごとに採点しなくてもいいのでは?」という質問も出る。
 個人的な好みもあるので、強制はしない。
 しかし、大問ごとに一気に採点していくと、誤答の傾向がはっきり分かる。誰が、どこを間違えたのかも採点しながら把握することができる。
 もちろん、低学年のように問題数が少ないなら一気に採点できる。いずれにしても記憶の範囲ですればいい。教師が答えを覚えながら採点すると、丸をつけるスピードが単純に速くなります。

 今や、自宅に持ち帰る教師はほとんどいないだろうが、もしまだやっているのなら、すぐにでも辞めた方がいい。地元では、持ち出した子どもの情報を紛失すれば必ず処分が出る。処分を覚悟してまで、するような仕事ではない。

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