水泳指導30 全校での指導

体育授業のコツ

 25mへの指導の流れは以上示した通りである。各ステップの要所を理解し、順を追って指導をしていけば、おそらく誰でも泳がせることができるようになる。
 特にブレスの指導を的確に入れていけば、劇的に変わる。

 今回の指導は高学年2年間、あるいは6年生1年間の中で突貫工事のように進めてきた指導である。
 もし、1年生から順に取り組むことができれば、もっとゆったりと楽しい活動を織り込みながら学習ができるだろう。

 どの学年も、その学年での目標さえ到達できれば、次に引き継いでくれるわけだから、無理なことをさせる必要もない。
 例えば4年生で25mなど泳げなくてもいい。
 泳げる子どもはいるかもしれないが、全員がそれを目指す必要はない。むしろブレスができるようになっていれば、5年生でほとんど泳げるようになるだろう。

 勤務していたころに、何度か学校全体のカリキュラムを提案しようと試みたことがある。
 しかし、このような学年を超えるカリキュラムを提案するには、ものすごいエネルギーを必要とするのだ。

 提案をしたのに、自分が異動になりその後がどうなったか分からなくなったこともあった。(多分、消え失せたろう。)

 もし仮に、校長のもと、全職員が理解して数年取り組んでくれれば、子どもたちの能力は劇的に上がると確信する。
 そして何より、スイミングスクールに行かなくても学校の授業だけで子どもたちを泳げるようにさせると保護者に宣言できることは、ものすごい武器になる。

 今の学校は、習い事と共存することが暗黙の了解になっている。学習塾をはじめとして、放課後の習い事が一切なくなったら、学校での教育は難しくなる部分があるだろう。

 それが現実である。

 学校に行けば、子どもたちに確実に力がつくと証明できるようなカリキュラムと指導体制があればいいなとずっと思ってきた。

 今回、この実践を仮に全学年にちりばめて系統的に指導するとすればどうなるかを、試案として示したい。

全員25m完泳を目指す水泳指導ラインナップ

水泳指導 準備シリーズ 学年全員の指導をターゲットにします
 01 泳げることの向こう
 02 指導は5月に始まる
 03 指導の全体像
 04 子どもたちのエピソード
 05 指導の系統

水泳指導 浮きの指導シリーズ 苦手な子どもたちはここからていねいに指導します
 06 顔を水につける
 07 もぐる
 08 浮く指導
 09 浮く指導の小さなステップ
 10 ふし浮き
 11 けのび
 12 けのび微細な指導

水泳指導 息つぎの指導シリーズ 25m完泳しない大半の理由はここにあります
 13 息つぎ
 14 ボビング
 15 連続したボビング
 16 浮きと呼吸の連動
 17 浮きと息つぎの発展

水泳指導 ストロークとキックの指導シリーズ 協応動作という考えを水泳にも取り入れます
 18 キックとストローク
 19 ストロークどこを見るか
 20 腕に水の抵抗を感じるか
 21 キックの練習
 22 キックとストロークの連動
 23 ブレスをいれた泳ぎ 
 24 クロールのブレス

水泳指導 目標の25mへの指導シリーズ いよいよゴールへ向けて詰めの指導です
 25 完泳への力を蓄える
 26 目標25mへ
 27 完泳までの道のり
 28 酸素摂取能力

水泳指導 まとめシリーズ 学校全体で指導ができると負担軽減・効果倍増なのです
 29 保護者への話
 30 全校での指導
 31 全校での指導系統案

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