声を出させる音読指導

教育技術シリーズ

 どんな学習活動にも、複数の目的がある。一つの指導を通して、いくつもの成果を上げることができるようになると、子どもたちの力が総合的に伸びていく。音読指導同じである。

 音読指導はまず4月のスタートから声を出させることを目的とする。

 子どもたちが家庭で生活するにおいて、それほど大きな声を出す必要はない。教室という一定の広さの中で、そこにいる友だちに自分の声を届かせようと思えば、それなりの練習が必要となる。
 音読はその声を出す練習として、4月当初はとても有効である。

 4月、子どもたちに教科書の文を読ませてみるといい。
 初めからほとんどの子どもたちが、適度な声の大きさで音読ができることは珍しい。
 春休みの間に大きな声を出さなかった子はいるだろうし、新しい学級でどのくらい自分の声を出していいのかも分からない子どもたちもいる。

 教科書の物語の冒頭の一文でいい。場合によっては題名だけでもいい。
 まずはそれだけを使って練習する。

 「読みましょう。さんはい。」と声をかけ、第一声を聞く。
 これを聞いて手立てをすぐに打てればいい。何を治せばいいか瞬時に判断できると、子どもの声はあっという間に変わる。
 指導は、一回に一つずつ入れていきながら、何度も読ませるのである。

 教師の言葉だけ紹介する。

「読みましょう、さんはい。」

「声を出すときには、息を吸うのですよ。息を吸って声を出します。さんはい。」

「腰骨を立てましょう。さんはい。」

「教科書は両手で持ちます。さんはい。」

「声が頭の上から出るように出します。さんはい。」

「今のボリュームを2としたら、4まで上げます。さんはい。」

「次は6まで上げます。あげすぎてはいけません。さんはい。」

「何人かは怒鳴っています。怒鳴ると、声が美しくなりません。さんはい。」

「右半分の列だけ読みます。さんはい。」

「今度は左半分。さんはい。」

 読んでは一つずつ修正していけば、あっという間に上手になる。
 短い文を何度も何度も読み直す。テンポを上げながら、繰り返していくと子どもたちも熱中し、そして上手になることを自覚していく。
 一文読んで上手になったら、二文続けて読ませてみるといい。それでも、変わらず上手に読めれば、まずは合格である。

音読指導ラインナップ
 00 教室で行う音読指導
 01 声を出させる音読指導
 02 全体から個別への音読指導
 03 個から自立への音読指導
 04 集団に埋もれさせない音読指導
 05 1文から始める音読指導
 06 あらゆる教科でできる音読指導
 07 微細にこだわる音読指導
 08 黙読へ向かう音読指導
 09 詰めにこだわる音読指導
 10 進化した音読
 11 暗唱と連動した音読指導
 12 他教科へ波及する音読
 13 裏技の音読指導
 おまけ 音読の宿題は保護者に恨まれる

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