裏技の音読指導

教育技術シリーズ

 国語の市販テストの中でも、物語文を扱うものは特徴がある。
 問題文として取り上げているのは、物語のクライマックスの部分であることがほとんどなのである。
(問題作成者サイドにしてみれば、そこを取り上げるのは当然と言えば当然である。)

 子どもたちに音読の指導をすると(宿題の有無にかかわらず)、物語の冒頭部分は上手に読めるのだが、長文になっていくと後半は下手になっていく傾向がある。
 宿題に出していても、冒頭から結末までを同じ調子で読んでいるとは限らない。おそらくは後半は雑になっている可能は高い。
 教室で音読練習をする場合、全部を読ませるわけではないことはすでに述べている。この場合も、教師が意識していなければ、つい冒頭ばかりを読ませてしまう。

 そこで先のテストと連動させるのである。
 すなわち、クライマックスの部分の音読練習を積極的に取り入れるのである。
 国語の授業の冒頭数分を音読練習に取り入れるとする。
 どこを読ませるかという時に、教師がクライマックスの部分を指定して読ませるといい。

 テスト対策として特別なことをする必要はない。ただ、子どもたちがすらすらと読めるように何度かその場面を扱うだけである。
 いつものように、助詞や文末を雑に読んでいる時に、指導を入れて確実に読ませるようにしたらいい。また、すらすらとスピードを上げて読んでいけるように指導を加えていけばいい。
 もちろん、この部分がテストに出るなど言う必要もない。

 教室での音読指導が一定の成果を上げ、声が整い、速さも早くなり、ミスもなく読めるようになっていくだけで、国語のテストの平均点は上がってくる。
 それだけ、今まで子どもたちが雑に読んでいたという証明になるくらいだ。
 それでも、まだ成果が出ていないなと思う時には、上記のように「子どもたちが上手に読める部分に偏りがある。」という状態なのだろう。

 特に高学年の長い物語の場合は、どうしても後半が弱くなる。
 繰り返すが、宿題にしても同じである。
 教師が意図的に範囲を指定して練習させていくような、小さな工夫が必要になる。

 これはテストのためにクライマックスを読ませるだけでなく、必要な時に必要な場面を取り上げるという意味では、応用可能である。

音読指導ラインナップ
 00 教室で行う音読指導
 01 声を出させる音読指導
 02 全体から個別への音読指導
 03 個から自立への音読指導
 04 集団に埋もれさせない音読指導
 05 1文から始める音読指導
 06 あらゆる教科でできる音読指導
 07 微細にこだわる音読指導
 08 黙読へ向かう音読指導
 09 詰めにこだわる音読指導
 10 進化した音読
 11 暗唱と連動した音読指導
 12 他教科へ波及する音読
 13 裏技の音読指導
 おまけ 音読の宿題は保護者に恨まれる

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