あらゆる学習でできる音読指導

教育技術シリーズ

 音読の指導を国語の、それも物語文や説明文のみで行うものと考えてしまうことがある。それではもったいない。
 音読の指導はあらゆるところで行う。
 学習であれば、いつでも声を出して、すらすらと読まなければならないような状態を作っておく。

 国語で言えば、見開き2ページ程度の言語事項の単元も音読をする。
 算数の文章題は、問題文を必ず音読する。また、定義や公式の説明が示された「まとめ」の部分も音読させる。

 算数の文章題をノートに写させる授業を何度も見たことがあるが、書き写す時間があれば、何回音読ができるだろう。そして、一度書き写すだけよりも、数回音読をした方が子どもの理解を促すことができる場合が多い。
 書き写すときには子どもたちは単語や文節ごとに切りながら頭に入れている。頭の中に文章のイメージが入ってこない。書き写した後に改めて読み直して、初めて全体像が頭に入ってくる。大人も視写してみるとその感覚は分かるだろう。
 反対に考えてみるといい。問題文をたどたどしくしか読めないような子どもたちは、そもそも問われている意味が分かっているのだろうか、と。計算する以前に問いの意味を理解させることは、上の学年にいくほど重要である。

 社会の教科書こそ、音読すべきであると私は考えている。社会の教科書は視写も効果があるがまずは、内容に入る前に子どもたちに音読をさせてみるべきだ。
 国語の教材は、その教材を使って別の学習課題に取り組むために、教材そのものは比較的平易に書かれてある。つまり、読むだけなら当該の学年には分かりやすいのである。
 この点、社会の教科書は、書いてあることそのものが学習内容である。難度から言えば国語よりもはるかに難しい。高学年であれば新しい熟語やカタカナも次々出てくる。そうした言葉を含めつつ、文全体をすらすらと読めるようになっていくことが、まず理解する上での第一歩となる。

 これもさせてみると分かるが、国語であれだけ読めたと思う子どもたちすら、社会の教科書は、驚くほど読めない。
 これからは社会の教科書の記述のような文を大量に読むことが求められる。社会の授業の中も1時間に1回は音読を明確に位置付けるべきだ。

音読指導ラインナップ
 00 教室で行う音読指導
 01 声を出させる音読指導
 02 全体から個別への音読指導
 03 個から自立への音読指導
 04 集団に埋もれさせない音読指導
 05 1文から始める音読指導
 06 あらゆる教科でできる音読指導
 07 微細にこだわる音読指導
 08 黙読へ向かう音読指導
 09 詰めにこだわる音読指導
 10 進化した音読
 11 暗唱と連動した音読指導
 12 他教科へ波及する音読
 おまけ 音読の宿題は保護者に恨まれる

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