教室で行う音読指導

教育技術シリーズ

 国語の教科書程度の文章は、すらすら読ませるようにしたい。それは学力の向上を考える上で当然のことである。
 だからと言って毎日家庭で練習しても効果は上がらない。保護者に聞いてもらっても、ほとんどの場合は同じである。保護者にも過重の負担をかける。

 音読指導は教室で行うべきである。

 しかし、教科書に出てくる物語や説明文を全て音読指導をしようとする、それだけで国語の授業を費やすことになる。(だから宿題、という発想なのだろうが。)

 教室で音読の指導を行うには原則がある。

1 毎日行う。国語の授業では3分から5分でいい。

2 初めは1行だけ、やがて数行、長くても1ページ程度。

3 他教科でも声を出して文章を読む機会を何度も設定する。これで毎日できる。

4 初期の音読指導は声を整える。

5 助詞や文末を正確に読ませる。

6 音読と朗読は違う。音読は黙読への布石であり、速く読ませる。

7 全体を鍛えつつ、個別へとステップアップさせる。

 まずは発想の転換が必要である。
 物語や説明文の始めから終わりまでを、一言一句すらすら読ませようと思うのは無理である。高学年になるほど無理である。また、そのような指導をしなくても、子どもたちは文章の内容を理解することができるようになる。

 子どもたちが読書で目にするような長編の物語を、初めから終わりまで音読指導しなければ理解できないかと言えば、そんなことはない。

 それは、音読が音読だけの指導でなされるのではなく、さまざまな学習の複合的な要因が積み重なった結果だからである。

 子どもたちは日々膨大な言葉を覚え、文章に触れている。単語の理解と文脈の把握の積み重ねによって、音読を特別に指導しなくても読める要素を身につけていくのである。

 学校の音読指導は、その膨大な日常の言語活動の中において、ほんの一部の交通整理程度の役割を果たしているだけである。そして、意味のある交通整理なら短時間でも効果が上がるのだ。

音読指導ラインナップ
 00 教室で行う音読指導
 01 声を出させる音読指導
 02 全体から個別への音読指導
 03 個から自立への音読指導
 04 集団に埋もれさせない音読指導
 05 1文から始める音読指導
 06 あらゆる教科でできる音読指導
 07 微細にこだわる音読指導
 08 黙読へ向かう音読指導
 09 詰めにこだわる音読指導
 10 進化した音読
 11 暗唱と連動した音読指導
 12 他教科へ波及する音読
 13 裏技の音読指導
 おまけ 音読の宿題は保護者に恨まれる

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