日記指導は「見たこと作文」から

教育技術シリーズ

 この作文の原型は「見たこと作文」である。
 作文の多くは「したこと作文」であるが、したことを書くのは実は難しい。子どもは自分がしたことをメタ認知しにくい。したことを詳細に記憶することが苦手である。

 これに対して見たことならば、今見たことを書けばいい。したことを書くよりは、はるかにハードルが低くなる。
 しかし、単に見たことを書かせればうまくいくというわけでもない。

 見たことを書きなさい、と指示した後で、具体的な例示を示す。この場合であれば「黒板があります。」などがそれである。
 子どもたちはこれで思考の枠が少し外れる。今まで、「黒板があります。」などと書くことが許される作文に出会ったことがないので、思考の中に入っていなかったのである。

「黒板がいいなら、これもいいはず。」と思えることで、子どもたちは次々と書けるようになる。

 しかし、それでも限界が来る。「〇〇がある」だけでも本当ならば、まだ相当数書けるのだが、感覚的に飽きが来る。同じことを繰り返しているうちに、面白くなくなる。
 ここで、同じものを見るにしても、単に「ある」と書くだけでなく、色、形、大きさなどの「属性」に注目すると一つのことが多様に見えてくる。

 つまり、一回の作文(日記)でこの思考のフレーム形成までもっていくのである。
 これは、社会科の資料の読み取りや時価の実験観察の記録にも、同じことをさせることによって、定着を図っていく。
 一度、この見え方ができるようになると、なんにでも汎用ができるようになる。言葉にするだけで、見えるものが違ってみてくるのだ。

 あとは「量が勝負」という基準で、質を問わなくする。同時に、教室で書かせることによって、友だちの比較もさせる。

 同じ空間で同じものを見ながら、書いている量に違いがあるということは、まだまだ発見できるのだと思えるようになる。
 過去、この例で1ページを書けなかった子どもはほとんどいない。また数名いたとしても、今の段階で特別な指導は不要である。

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