日記指導での見方・返却の仕方

教育技術シリーズ

 基本的には丸をつけたら、一言コメントを書いてすぐに返却するパターンである。
 朝から教室で待っておいて、子どもたちが登校してくると同時に日記を受け取ってすぐさま読み、返事を書く、という方法だと朝の会前にほぼ読み終わる。

 時間に余裕があるとこの方法はいい。
 もし忘れた子どもがいたら、その場で「はい、今書いて。」と言えばいいので、事実上忘れ物もゼロとなる。

 朝の会の話の時に

「今日の日記はもう読ませてもらいました。〇〇くんの日記を紹介します。」

とその場で読んで聞かせることも時々行った。子どもたちもたった今、提出した日記についての話なので、イメージがしやすい。

 帰りに時間があったら、

「今日は時間に余裕があるので、今から5分だけ日記を書く時間をあげます。5分経ったらきっちり終わるので、続きは家で書いてください。」

と指示を出して、正確に時間を計って、書かせる。

 これをすると、子どもたちは家での課題が減るのでものすごく喜ぶ。そして、5分でもものすごい勢いで書く。
 子どもによっては、1ページのほとんどを書き終わる子どもも出る。

 一見得したように思えるが、一度このペースで書けることが分かると、教師も強く言える。

「この間、5分で半分以上書いた人がほとんどだったでしょう?」

 だから家で日記を書くのに、時間がなかったと言い訳はさせませんよという意味になる。また、授業中の書く活動においても、日記と同じように書けるものと速さを想定できる。
 実際に、子どもたちは何を書かせても、速く書けるようになる。

 時折、学級通信で紹介していた。紹介方法は2通り。

 書いたものを紹介することを予告しておく。全員紹介すると予告するも場合と、何人か選ぶことを予告する場合もある。この場合、私が書き写して紹介していた。
 個人の内面や秘密に触れるような内容は、基本的に紹介の材料にはしない。行事の感想などが多い。  

 もう一つが「全員日記」である。
 年に数回「全員日記」と称して、原文のまま日記をコピーを取って、全員分を一気に紹介することをしていた。行事の感想などで使う。
 子どもたちには、ノート1ページにきっちり収めること(多くても写せない)、濃い文字で書くこと(コピーで写せるように)、誤字があってもそのまま出すことを話しておいた。

 今のコピー機は、8枚分を1枚に縮小してコピーするというような便利な機能がついているので、簡単にできる。
 同時に全員分をそのまま掲載するというのは、子どもたちにとっても力の見せ所なのでいい機会になる。日頃から誤字があったとしても、私がそれほどに目くじらを立てているわけではないし、保護者にもミスのない日記を書かせることが目的ではないことを話してきていることもあり、非難されるようなことはない。

 時折、長めの返事を書くことがある。
 子どもが自分の考えを書いているときに、それに答えるためである。長めとは、私も1ページを超える返事になったこともあった。
 いつも書けるわけではないが、ここ一番と思ったときには書くようにしていた。

 どうしても返事が書けないくらい忙しい時もある。
 その時には、帰りまでに子どもたちに伝える。代わりに、内容だけは絶対に読むようにしていた。場合によっては、子どもが(出されたテーマに関わらず)緊急の訴えを書いている場合もあるかもしれない。
 だから、その日のうちに絶対に目を通すことだけは心がけていた。

 学級の最後の日は「10年後の自分へ」あるいは「20歳の自分へ」というテーマで未来に向けて書かせることにしている。
 この日記の後から読み返すことがあったときのためのテーマである。

 このテーマだけは、教師は見ないことをあらかじめ伝えてから書かせた。自分のためだけに書くことなので、何を書いておいてもいい。
 子どもたちに教室で書かせて、そのまま持って帰らせる。どんなことを書いているのか興味はあるが、毎年知らないままである。

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