一から十まで教える清掃指導

教育技術シリーズ

清掃を指導する

 諸外国の学校では、清掃は子どもがするのではないらしい。
 日本の家庭でも今や、ほうきやぞうきんを使うことはめったにない。子どもが掃除をすること自体が珍しいかもしれない。
 つまり清掃活動は、学校という業界の特別な作業だと割り切って考えた方がいい。
 すべての指導方針は、まずそこからスタートする。

 子どもたちは掃除をサボって当たり前である。
 身の回りの環境を自分できれいにするという体験が圧倒的に乏しい。そこに達成感を見出す体験はさらに乏しいだろう。
 特別な指導もしないで、熱心に清掃指導することを期待する方が無理な話である。

 ほうきやぞうきんだけでなく、さまざまな清掃道具そのものが珍しい。

 子どもたちは道具を使った経験が、少なくとも家ではほとんどない。トイレの清掃用具も外用の掃除道具ももちろん使った経験はほとんどないだろう。

 ぞうきんを絞ったこともなければ、長いほうきを使って家の床を掃くこともない。
 すなわち道具の使い方を教えなければならない。

 経験もないし、道具の使い方も知らないのだから、もちろん掃除の仕方も知らない。
 そもそもどういう状態が目指す状態なのかも知らない。
 トイレ掃除をさせると床が水浸しになるのは、水をまけばとりあえずきれいになるのではないかという経験則が導き出した一つの結論であって、ふざけているわけでもない。

 段取りと目指す姿を教えなければならない。

 多くの国ではやらない清掃活動をさせることの是非は今問わないでおく。不要だと言っても、今現在あるのだから、その対応をしなければならない。

 そこで、どうせ清掃をさせるのであれば、その時間を上手に使えるようにした方が、子どものためにもある。

 ふざけて遊んでけがをする時間にするのか、何らかの達成感があって子どもたちなりに成長することがあるのかは、教師の指導次第だろう。

 清掃指導の原理は、一から十まで全て教えることである。
 自分で考えさせて自主的に行動することを期待してはいけない。それが期待できるのは、何度も経験のある掃除場所と道具で、前の学年までにさまざまな指導を受けた子どもの場合だけである。

 このブログのあちこちに示しているが、人間は知らないことは考えようがないのである。

清掃指導ラインナップ
 一から十まで教える清掃指導
 目標を明確にする清掃指導
 本末転倒の清掃指導
 清掃指導(ほうきの使い方)
 清掃指導(ぞうきんの使い方)
 清掃指導(安全な机移動)
 清掃指導(机移動の段取り)
 清掃指導(廊下掃除の段取り)
 清掃指導(教室掃除の段取り)
 清掃指導(除草作業と外掃除)

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