給食指導で時短の思想を学ぶ

教育技術シリーズ

 そもそも給食を準備するというのは、家庭では行わない動きが多い。配膳室までの距離は長いし、大人数の食事を配らないといけない。
 だから、はっきり「業界特有の行動」と教師が割り切って指導しなければならない。あくまでも学校生活を円滑に動かすための手段であり、将来の子どもたちに実益として役立つことはほとんどない。

 ただ、配膳の時間が短いと、それだけ食事そのものの時間は長く確保できる。そうすると、今まで苦手だった子どもや食の細い子どもも比較的ゆっくり食べることができる。

 準備にかかる時間の中で不要な時間を削って、メインの時間を確保するのは、体育や図工などの学習でも同じである。
 この「準備+主活動=活動時間」という方程式が学校生活にあることをイメージさせる意味では、給食指導も役に立つことは多い。
 子どもたちにとってみれば、食べる時間が短かったことと、準備に時間がかかることが直結していなかったのである。

 当番が早く出発するのは、回を重ねるごとに安定してきた。週ごとに当番も交代するのでそのたびに教師が声をかけ、当番ごとに慣れさせていく。

 何より教師がきっちりと授業を終わるので、子どもたちにも歓迎される。
 当番が給食を取りに行くのに、他の学級の前を通るのだが、その時に授業をしている学級はかなりあった。時間通りに授業を終えて、準備をしている自分の学級の方が悪いような印象さえ受けた。

 しかし、この流れは数年後に学校全体に自然に定着していく。どの学級でも時間通りに授業を終え、準備に速く取りかかるようになってきた。

 教師も根性論に走ってはいけない。段取りはていねいに指導する。

 繰り返すが、学校以外では役に立たないシステムなのである。自分で考えろと言われても子どもたちも今までの学年でやってきたこと以外に、情報がない。

 手を洗いに行くときに、当番が行くことを優先することなどをも教える。当番以外の子どもが先に行くと、当番が並んで待つことになるからだ。そんな小さなことも話しておくだけで子どもたちの動きは変わる。
 ちなみに待つと言っても30秒程度でいい。流れができれば大した時間ではない。
 一つ一つの行為は小さいのだが、組み合わせ、積み重ねると大きな時間になる。

給食指導ラインナップ
 給食指導 コンセプト設定 
 給食指導 時短から始める
 給食指導 時短の思想を学ぶ
 給食指導 配膳のコツ
 給食指導 セルフサービスの意味
 給食指導 おかずをつぎ切る
 給食指導 完食よりマナー
 給食指導 食べ方基礎知識
 給食指導 食べ方の指導(高学年)
 給食指導 食べ方の指導(低学年)
 給食指導 おかわりの指導
 給食指導 微細だが重要な食事の指導
 給食指導 知的に指導する
 給食指導 後片付けその他
 給食指導 給食週間と完食指導

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