算数テストの解き方3(見直しの仕方)

教育技術シリーズ

 テストで「見直しをしなさい」と言わない教師はいないのではないだろうか。
 しかし、多くの子どもは見直しをしない。しても見落としている。

 理由は簡単である。
 そもそも、正解するつもりで解いてきたものが目の前にある。ここに至るまでに、子どもなりにがんばってもきた。それに少々疲れてもきた。
 にもかかわらず「自分の書いたものは間違っているかも」とメタ認知しながら再検討するなど、レベルの高い話である。教師だって今書いた指導案の誤字脱字を調べろと言われたら、「時間をおいて」と思うだろう。それと同じである。

 見直しをさせるなら、その方法を教えなければならない。

 次の順番でテストをチェックするように話をしてきた。

その1 答えに単位が書いてあるかを見る。
 一問ずつ解き直すのではなく、テスト全体を眺め解答欄の( )の中だけを見る。

その2 その単位は求められているものと同じかを見る。
 「長さは何kmですか。」と聞かれているのに、mで答えていないかを見る。

その3 問題文の中の数字と自分の立式の数字が同じか見る。
 これは意外に多い。そもそも前提が間違っている。

その4 筆算で出した答えと同じ数字を解答欄に書いているかを見る。
 これも意外に多い。正しく計算しているのに、なぜか答えが違う。 

 これらを話して見直しさせただけでも「ミスが見つかった人?」と聞くと、数名は必ず手を挙げる。

 1問5点として6人間違えれば、学級で合計30点のマイナス。つまり、これで学級の平均点は1点下がっていたことになるのだ。

 これでも時間が余っているようなら、計算をし直すように指示している。
 自分が書いた筆算の跡を眺めているだけではミスは見つからない。もう一度、筆算をやってみるのである。それも、前の計算が見えない別の場所(例えばテストの裏の空白)にするように指示する。
 一度目と二度目の答えが違うなら、どちらかが違う。二回目が違う場合もあるが、二つを比べることでチェックができる。二つとも同じなら正答の可能性は高い。二回解いても同じミスをしているのなら、そもそも計算方法を誤学習している。これは、見直しでは改善できない。テスト後に再度指導が必要である。
 この見直しで、計算ミスを見つける子どもも必ず数名いる。

 ただ、残念ながら計算ミスについては、これまでの授業での取り組みの結果が大きく反映する。
 日頃からていねいで確実に計算をする学習をしていなければ、テストだけていねいに取り組むようにという方が無理な話である。

 見直しが大切という大人は多い。しかし、具体的にその方法を教える教師は極めて少ない。
 方法を教えずに、ミスを放置した子どもの行動や性格に原因があると考えるのはいかがなものか。

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