水泳指導24 クロールのブレス

 クロールのブレスは、横を向くのではない。後ろを向くのである。

 水をかいた腕の水から抜くときに、自分のわきから後ろを見るのである。

 上級者では、多少の顔の向きは問題にはならない。初級者特有の課題を解決するためにはあえて「後ろを向く」と伝える方が結果的に効果的な泳ぎになる。

 後ろを向くようにすると、あごを引いたまま、水面から顔を出すことができる。立っている姿勢で自分の洋服のわきが破れていないか見てみるといい。その動きがクロールのブレスの動きとつながる。

 あごが出た状態で顔を上げると、想像通り体が下半身から沈んでいく。キックの推進力である程度は維持できるが、時間が経つごとに体は沈んでいく。

 この練習をするために、まず腕の動きを復習しておく。腕をぶんぶん回しているような泳ぎ方だと、ブレスであごが上がる。

 水から出した腕はひじを曲げ、すぐに前に指を突き刺せるように動く。その腕を出した瞬間にさっと呼吸をする。

 それも腕はできる限り早く動かしておかないと、推進力が落ち、距離が延びるごとに体が沈んでいく。

 今までの気を付けていった視点が、ここでつながっていく。それぞれの指示はクロール泳法のための布石の連続だったのだ。

 腕の確認ができたら、水の中に立ち、肩まで水につけたら、今度は顔も水につけて、ストロークの練習を行う。そして、数回に1回はブレスをしてみる。

 顔が後ろを向くように意識させる。教師が視線の位置に立っておくという方法もある。

 立ったままで練習しているのに、息苦しいのか1回でやめてしまう子どもがいる。

 目標は「泳ぐ → ブレス → また泳ぐ」の連続である。

 ブレスの後、途切れることなく泳ぎに戻れるよう、練習を繰り返す。

 子どもたちは手をかくたびにブレスをするものと思い込んでいる節がある。

 初期の段階ではむしろ数回に1回でいい。ブレスをしない状態の間に、フォームを整え直し、次のブレスにそなえるのだ。

全員25m完泳を目指す水泳指導ラインナップ

水泳指導 準備シリーズ 学年全員の指導をターゲットにします
 01 泳げることの向こう
 02 指導は5月に始まる
 03 指導の全体像
 04 子どもたちのエピソード
 05 指導の系統

水泳指導 浮きの指導シリーズ 苦手な子どもたちはここからていねいに指導します
 06 顔を水につける
 07 もぐる
 08 浮く指導
 09 浮く指導の小さなステップ
 10 ふし浮き
 11 けのび
 12 けのび微細な指導

水泳指導 息つぎの指導シリーズ 25m完泳しない大半の理由はここにあります
 13 息つぎ
 14 ボビング
 15 連続したボビング
 16 浮きと呼吸の連動
 17 浮きと息つぎの発展

水泳指導 ストロークとキックの指導シリーズ 協応動作という考えを水泳にも取り入れます
 18 キックとストローク
 19 ストロークどこを見るか
 20 腕に水の抵抗を感じるか
 21 キックの練習
 22 キックとストロークの連動
 23 ブレスをいれた泳ぎ 
 24 クロールのブレス

水泳指導 目標の25mへの指導シリーズ いよいよゴールへ向けて詰めの指導です
 25 完泳への力を蓄える
 26 目標25mへ
 27 完泳までの道のり
 28 酸素摂取能力

水泳指導 まとめシリーズ 学校全体で指導ができると負担軽減・効果倍増なのです
 29 保護者への話
 30 全校での指導
 31 全校での指導系統案

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