理科テストの解き方

教育技術シリーズ

 問題の中に「〇〇のとき、葉の大きさはどうなります。」というような問いがある。

 説明をする。

「『大きさはどうなりますか』と聞かれたら、答えは『大きくなる』『小さくなる』『変わらない』のどれかにしかなりません。
 『長くなる』とか『広くなる』というような答え方は間違いです。」

 このような付け加えもあるだろう。

「『葉はの大きさは大きくなる』というように、分かりきっている余計な言葉はいりません。そもそも日本語が変です。」

「『とっても大きくなる』のような説明もいりません。」

 こんな質問が子どもから出る。

「先生、『大きくなります』はいいですか。」

 丁寧語で答えていいのか、という質問である。ここは許容範囲であるが、私の場合は先に伝えた3つだけと話した。指示を徹底するためである。

 さらに詰めておくといい。

「今説明したからね。これ以外の答え方をしていたら、×にしますよ。」

 一回目は聞き逃すかもしれないが、数回確認したのちには本当に×にしていた。それが指導である。
 何も指導をしないで×を付ければ、許容範囲のぶれがトラブルのもとになる。
 このようにテストの解き方も大切な勉強だからと趣旨を説明し、判断基準も示せば、子どもたちも納得する。

 こうやって答え方を明確に限定すると、教師の採点も格段に楽になる。「長くなる」と書いていたものを正解とするか、不正解とするかというような悩みはなくなる。子どもたちも問題文を正確に読むようになる。

 何度か同じパターンが出てくるので、今後は一言声をかけるだけでいい。

 理科テストは、この指導を初期の段階で行っておくだけで、答え方にブレがなくなり、単純に点数は上がっていく。

 もちろん、テストでなく日頃の授業の中でも同じような問い方と答え方が出てくる場合もあるだろう。そうした時を選んで、指導を加えていった方がいい。

 しかし、テストとは「書き言葉の問いに、書き言葉の答えで返していく」ものである。文字言語によるやり取りの仕方を指導しなければならない。
 だから、初期に行うテストの中で、1枚実施するたびに、1つ2つ解き方を教えていくという方法を採っていくのである。解き方の指導であるから、そもそもの採点基準には抵触しないはずである。 

 「小さくなる」と答えれば、明らかに間違いである。しかし、「長くなる」と答えている子どもへの採点基準をどうするかは、採点するときに悩む。
 正解とするか、間違いとするか、あるいは部分点をあげるのか。
 どの方法を選ぼうとも、教師が採点の段階で悩んでも、子どもたちの今後のテストの解き方には、何の影響もない。返却時に説明をしても、次のテストの時には忘れているだろう。

 テストの実施時に指導を行う。それをきちんと聞いていて、実行したらテストの結果も上がる。子どもたちも達成感がある。
 「先生の話をきちんと聞いてがんばれば、自分もできるようになる。」というモチベーションにもつながる。そして、ここで学んだことは(こんな小さなことでも)今後ずっと役に立つのである。

テストの指導ラインナップ
 市販テストの点数を上げる
 テストに対する教師のメンタルブロック
 漢字のテストの目的は何だったのか
 小学生のテストは教材そのものである
 テストはまず問題文を読ませる
 テストの解き方・最低限の知識
 テスト実施方法
 テスト採点方法
 テスト保管方法
 テストで名前と文字の指導
 国語のテストの解き方1 見つける
 国語のテストの解き方2 読む習慣
 国語のテストの解き方3 問いに対応
 国語のテストの解き方4 言語の問題
 社会のテストの解き方
 算数のテストの解き方1 ミスとの闘いに勝つ
 算数のテストの解き方2 過程を書かせる
 算数のテストの解き方3 見直しの仕方を教える
 算数のテストの解き方4 裏面は授業の反映
 理科のテストの解き方
 テストの平均点 数字から子どもを見る方法

新・教育技術シリーズ index

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